第3話Aパート『あなたが守った街で』
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か。まっとうな社会人なら当然すべきことに今までまったく気付いていなかった、ことに今気付いた。
「はじめまして。隣に越してきました、北大路美奈子と申します。」
ヒデオの見た目に、腰が引けてしまっていながらも、丁寧に挨拶する。
ショートボブというのだろうか、そういう髪型で。紺色の制服に、縞柄のネクタイ。――警官の制服だった。
警官。歩いているだけで職務質問という暴力を加えてくる警官。自分のような男が警察の職務質問を受けている、そんな光景を見た周囲の人間がどう思うのか。考えもしない警官。
それが無ければ、自分も出不精症候群など発症せずもう少し外出する気も起きたかもしれない。
いや、彼女に罪はなく、おかしな先入観を持つべきではない。
ともかくその、北大路という…北大路?ウィル子に調べさせた情報で、警察庁の職員で聖魔杯参加者がいるとか。そう何人もいる苗字でもないだろうから、その本人だろう。
なんとなく、後ろめたい気持ちになった。
「川村、ヒデオです。よろしく」
できるだけにこやかに挨拶を交わした。つもりだ。
奥の部屋からウィル子も顔を出し、たしかに彼女も挨拶しておくべきだろう。が。
「し…、少女監禁の現行犯で逮捕!!」
手錠を取り出したのを見て、とっさにドアを閉じた。
「一体、何のことでしょう」
突然何事かと。
「そんな荒んだ目つきで、中学生ぐらいの少女と、部屋で何をしていたのですか!?
しかもっ、そんな趣味的な服を着せてっ。少女を解放して、素直に投降なさいっ」
鍵のかかったアパートの一室。20代男性と、コスプレした中学生女子…。
…。
言い逃れが、できそうも無い。
「ウィル子さんは、ヒデオさんのパートナーの精霊ですニャ?」
「え?…そうなんですか?」
大家さんから助け舟がだされる。
「あなたの。早とちりです」
「…、でもっ、人間じゃなくても、年頃の女の子と同居だなんてっ。不健全です!!」
簡単には決着させられない議論になりそうではある。
「ウィル子はそーゆーことに興味はないのですよー」
もちろん、ヒデオも。中学生を相手にする趣味は、ない。
「同じアパートに住む同士、仲良くして欲しいですニャ?敵が多い大会ですから、せめてもですニャ」
「あ、あー。ごめんなさい」
大家さんの言葉に、慌てて謝る婦警の声。ヒデオも、扉を開け、彼女に謝る。
「親睦会を開きますニャ」
え?、と全員が疑問に思うと。
「私が開いて、皆さんを招待しますニャ。一食分のご馳走代がタダですニャ。経費で落とすから心配ないですニャ」
「それはおいしいのですよっ、マスター!!ウィル子はともかく、節約はできるだけした方がいいのですよーっ」
たしかにヒデオらの予算は限られており、出費はで
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