エピローグ:神話と勇者と聖剣と
エピローグ/廻りゆく神話/プロローグ
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ついさっき通っていった。急げ」
「ありがとうございます!」
礼を言うと、清文は走る。
果たして――――角を曲がったすぐ先のところに、滑車付きのタンカで運ばれる、苦しそううめく金色掛かった茶髪の女性を見つける。
「琥珀!!」
清文が駆け寄ると、女性――――栗原琥珀は、うっすらと目を開けて、清文を見た。
「あ……き、よ……ふみ」
「ごめん、遅くなった」
しかし彼女は。清文の最愛の妻は、薄く微笑んで、返した。
「きてくれない、と、おもって、たん、だからね……? ありがと」
「良い。こっちこそごめんな」
もう一度彼女に謝りながら、清文は医師の指示で渡された防菌服をその身に纏った。
その日。空が蒼穹と呼ぶにふさわしき日に。
真っ白な太陽光が世界を照らしていたその日に。
かつて《神話剣》と呼ばれた男と、《妖魔槍》とよばれた女の間に生まれた子が、この世に生を受けた。
生まれた直後から父親似の顔と気配をのぞかせたその子の名は、幸人。
栗原幸人――――後に、加速した世界の中心で、《パールホワイト・オーラリー》の名を冠することになる、次代の《勇者》であった。彼の神話は、また何時か何処かで語るとして――――
今ここに、かくして神話は、確かに受け継がれた。
神話は巡りゆく。
終わることなど、あり得ない――――
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