妥協的勇者物語
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頷いてくれた。
翌日から旅立ちの準備に勤しんだ。
城になんぞ出仕せず、一ヶ月という短い期間を悠々自適に満喫する。
一日の大半を家族と過ごし、そして気分転換で町を散歩する。
そんな日々を3週間過ごしたある日、教会の側で声をかけられた。
振り返るとそこには一人の少女が……
褐色の肌に美しい金髪、娘よりは2.3歳年上であろう美少女。
「オルテガ様……聞きました。魔王を討伐しに旅立たれるんですよね?」
5年程前モンスターに襲われた一家が居た。
丁度その現場に出会した俺は、モンスターを倒し彼女を助ける事が出来た。
ただ……ご両親は助けられなかった為、俺は彼女をアリアハンの教会が運営する孤児院に託し、時折様子を見に来ている。
そんな高給取りじゃないから、あんまり良いものはあげられないけど、時々服とかを差し入れて……
「うん。チョロッと魔王を倒して、またミカエルに会いに来るよ。だから良い女になっておけよ(笑)」
未来の愛人候補に冗談を言ってハグしようとしたが、一緒に連れていた二人の子供に目が行き、流石に取り止めた。
「あ、ほら……ご挨拶をしてハツキ・ウルフ」
娘と同年齢くらいの少女をミカエルは『ハツキ』と呼び、更に幼い男の子の手を引いてる彼女を俺の眼前に押し出した。
多分この男の子は『ウルフ』であろう……
「は……はじめめましてオルテガ様……」
「はじめましておるてがたま」
ハツキは恥ずかしそうに挨拶すると、それを見たウルフも真似をする。
「はじめまして。君達も孤児院の子かな?」
「そうなんですオルテガ様。まだウチに来たばかりですけど、私が話すオルテガ様の事を気に入っちゃって……憧れてるみたいなんです」
「憧れ? いやぁ〜照れるなぁ〜」
俺はそう言って二人の男女を抱き寄せる。
そして優しく頭を撫で「じゃぁ、どんな事にも負けるなよ」と言い残しその場から去った。
俺は憧れられる様な存在では無いのだ。
今回の件だって、俺のスケベ心が発端だし……
でも憧れる子供達の為に、そして大切な家族(親父は除く)の為に……
魔王バラモスを倒す決意を新たに固める。
本音を言えば面倒臭いけど、愛する者達の為に俺は旅立とう。
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