妥協的勇者物語
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「陛下……私はそれで構いません。魔王バラモスは何れ討伐せねばならないと考えておりましたし……」
うん。ウソじゃないよ。
現状何処に居るのか判らなかったから、俺からは何ら行動に出れなかっただけで、可愛い娘の将来を考え平和な世界にしないとって思ってたからね。
「そうか、流石は勇者オルテガよ!」
あれ? 王様が満面の笑みになったぞ?
大切な娘の処女と魔王討伐が等価なのか?
はっ! コイツ等最初からコレを狙ってやがったな!
ニヤケ連中と連合して、俺を危険な任務に就かせる事が目的だったな!
くっそぅ……まんまと罠に嵌まったって訳か、俺は。
「へ、陛下……」
「何かなオルテガよ?」
討伐に旅立つのは良い……だが言っておかねばならないことがある。
「来月になれば私の娘が6歳の誕生日を迎えます。魔王討伐となれば長き旅路となるでしょう……次は何時娘に会えるのかも判りません。せめて来月の誕生日だけは、娘と……家族と共に過ごさせて下さい!」
「来月……か……」
王様は顔を顰め少し考えてる。そして……
「仕方なかろう……旅立ちの準備もある事だろうし、一月の猶予は与える。しかし準備できたら早々に旅立つのだ! 貴様の旅立ちに合わせ、いざないの洞窟を封印し凶暴なモンスターがこれ以上アリアハンに来ない様、措置をするのでな」
つまり俺には帰ってくるなって言ってるのか……
上等だよクソジジイ。勇者オルテガを舐めるなよ……
美女が居る限り、どんな事をしても帰ってきてやる!
(アリアハン城下)
俺は自宅へ帰るなり、事の経緯を妻に説明する。勿論お姫様喰っちゃったって事は省いて。
アメリアは不安そうな顔をし何かを言いかけたのだが、名誉とか栄誉とかに弱い俗物的親父殿が「よくぞ決断したオルテガ! 流石はワシの息子じゃ」って先に騒ぎ出した為、何も言わずに抱き付いてきた。
一人じゃ心細いって言って途中まで親父を連れて行こうかな?
いざないの洞窟は封印されちゃうのだし、ロマリアまで行ったら置き去りにしちゃおうかな?
でもなぁ……そこまでだって邪魔くさいし!
そんな事を敬愛する親父殿に対して考えていると、娘が俺の足に抱き付いてきた。
「如何したんだいアルル?」
「お父さん何処かに行っちゃうの? もう帰ってこないの?」
「馬鹿だなぁ……お父さんは帰ってくるさ。お前達の為に悪い奴等を倒してくるだけで、全てが終わったら帰ってくるさ!」
そう……帰ってくるさ!
「だから俺が帰ってくるまで、良い子にしてるんだよ。お前がお母さんを守ってやるんだぞ」
俺は愛おしくなりアルルの額に口吻をする。
アメリアに視線を向けると、目に涙をためて
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