妥協的勇者物語
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じゃんか。妊娠させてねーぞ!
「『はぁ?』ではない! お前はワシの娘を傷物にしたのだぞ! その責任を如何するのか聞いて居るのだ」
傷物ってなんだよソレ!? お互いが同意の上でエロっただけだろ。
周囲を見渡すと、俺に対して良い感情を持ってない連中がニヤニヤした顔で眺めている。
何コレ? 新手の苛め?
ガキの頃から美形過ぎて、周囲の野郎共の嫉妬対象だったから、苛めなんて屁でも無いけど、連中のニヤケ面はムカつく。
後でブッ飛ばすしかないね。
「如何した……責任のとりようがないか?」
「ええまぁ……なんせ私はしがない兵士ですから」
解ってんだろお前も。俺に大した事は出来ないって!
「ではワシから提案がある」
「はぁ……提案ですか……」
何か周囲のニヤケが酷くなっていく。
「オルテガよ……ワシの娘と結婚せい!」
「はぁぁぁぁ!? な、何を仰ってるのですか陛下は!? わ、私には妻と娘が居ります……それなのに姫様と結婚せよとは……意味が解りません!?」
「意味が解らん訳ないだろう。平民の女とは別れ、王家に入れと言って居る……簡単な事であろう?」
「か、簡単ではございません! 私も平民です……王家に入るなんて」
ふざけんな馬鹿。権威になんて興味ないわボケ!
「確かに貴様は平民だが、“勇者”として名を轟かせて居る。多少の反対意見など物の数ではあるまい」
反対意見が如何とかじゃねーんだよ……アメリアを愛してるんだよ。
あぁ……如何すっかな……いっそ“殺してくれ”と言った方が早いかな?
「陛下、オルテガ殿の言い分も尤もですぞ。下賤なる平民と姫様を結婚させるなんて……」
助け船を出したのはニヤついてる取り巻き連中の一人……アルトラム子爵だ。
大した実力も無いのに、縁故だけで近衛騎士になった男。
「ほぅ……では如何するのだ? ワシの娘を傷物にした罪は償わなくても良いと?」
「いいえ、勿論違います。ただ私の提案では、罪を償わせると言うよりも、それを上回る功績を挙げて補償とするのです」
何を言ってるんだ、このアホは?
「ワシの娘を傷物にした事と同等の功績とは?」
“オルテガの娘を犯させる”と言ったら、アイツ殺す!
アルルは未だ5歳……来月6歳になる子供だ。自分の意思で男を決めたのなら、俺としては見守るだけだが、力尽くは許さん!
「勇者オルテガ殿にしか為し得ない功績……即ち“魔王バラモス討伐”です!」
ど、何処に居るのかすら判ってない魔王を倒せと言うのか!?
これだからアホの考える事は……
「なるほど……確かに良い案じゃ」
本当に良いと思ってるのかよ……思ってるとしたら、このジジイも馬鹿だな。
まぁそれで許されるのなら俺は構わない。家族(親父は除く)の安全も得られそうだし。
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