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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第24話 芯念
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与えられる。だが、それはその人間が生きるために必要不可欠だ。だから、すべての人間は与えられた力を全力で活用しなくてはならない。
しかし、大き過ぎる力とそれを活用する大き過ぎる舞台を与えられた者は実際、どうなのだろうか。
その舞台は、自分の能力でなければ務まらないと決められた人間はどうだろう。
そいつは自分の一生を選ぶことが出来ない、嫌でもその舞台に立ち続けなければ成らない―――その一生が終わるまで。
つまりは人は運命の奴隷だという事だ。平凡な一生はそれで哀れかもしれないが、平凡なりに救いはある―――だが、それに比べてなんと哀れな存在なのだろうか。
全ての人間が救われ、幸福となる未来なんてあり得ない。
戦争は必ず味方への犠牲を強いる、政治も同じだ。
権力という力を持つ者は、切り捨てるべき味方と救うべき味方を選別せねばならない。暴力という力を持つ者が暴威を前に守れる人間を選別せねばならぬように。
――そう、良識と良心を持ちながら救う人間を選別できる強靭な精神を持つという一点に於いて、斑鳩崇継と斑鳩忠亮は似通っていた。
(斑鳩崇継がこの程度で終わるわけがない―――そう、この仕儀すらも何らかの布石か、備えであるはず。もっと大きな何か……別の、或は“予行練習”か)
斑鳩崇継は王の素質を持つ一人だ。遠望神慮と即断即決、その二つを併せ持つ稀有な存在。
其れが如何に複利を及ぼす一手とはいえ、それだけで終わらすだろうか?
―――考えていても埒があかない。下手の考え休むに似たり、己程度が如何に思慮を巡らせた処でそう易々と真実にたどり着ける筈もない。
今は別の事が本題だ。
「――で、恭子様。私に篁中尉をどうしろというのです?まさか、婚姻を解消しろと仰るわけではないでしょう。
そうなれば嵩宰家の不利となる。“当主”としての貴女はそんな事口が裂けても言えない筈だ……本音がどうあれ。」
「ええ、分かっているわ。―――之から言う事は彼女の血縁としてのお願いよ、恥知らずと受け取ってもいいわ。
どうか、あの子の味方でいてあげて。私と唯依は確かに血が繋がっているけれど、仕来りと立場に縛られて出来ない事もあるわ―――でも貴方なら、侍ではなく武士であるあなたなら……!」
「―――それは篁中尉自身が乗り越えねばならぬ問題、他人がとやかく言えることではない。例え血が繋がった家族であろうとも。」
厳しい言葉を返す、人は必ず生まれもっての宿業。つまりは運命と対峙してそれを受け入れたうえで幸福に成るという決断を下さねばならない。
其れは孤独な決断だ、誰からも称賛されることのない孤独を超えた孤独な決断だ。
本当の意味で独りぼっちの決断と決意だ。
だが、それを決意する事こそ幸せ
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