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夜の住人
3部分:第三章
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「はい。それが何か」
「いや、何でもないが」
 村の中には教会もあった。そこに向かうことにした。
「神父はいるが」
「ええ、おられますよ」
 老人はにこにこと笑いながら彼の問いに答えた。
「御案内致しましょうか」
「頼めるか」
「はい、こちらです」
 老人に案内されゴッドフリートと共に教会に向かう。そこはどの村にもあるような何の変哲もない小さな教会であった。ただ昼には誰もいなかっただけである。
「神父様」
 老人は教会の扉を開けて中に声をかけた。
「御客様です」
「おお、それは珍しい」
 すぐに返事が返ってきた。そして程なくして初老の優しい顔立ちの男が扉から出て来た。法衣を着て十字架をかけている。紛れもない神父であった。
(間違いないな)
 ヴィーラントはここで胸の十字架を見た。それは確かにキリストの十字であった。若しこの神父が人でなく魔物であるならば胸に十字架をかけたりはしない。魔の象徴である逆十字か、若しくは最初からそんなものはないかだ。それを見て彼はこの神父がキリストの使徒であるとわかった。
 だがそれでも警戒を緩めてはいなかった。この神父にしろ昼は見ないからである。警戒したまま神父を見ていた。
「こちらの騎士様が神父様に御用があるそうで」
「そうなのですか。懺悔ですか?」
「いえ、御聞きしたいことがありまして」
 ゴッドフリートはそう答えた。
「宜しいでしょうか」
「ええ、宜しいですよ」
 神父は快くそれに答えた。だが一瞬その目の光が変わったことをヴィーラントは見逃さなかった。
「では」
「はい」
 老人は別れゴッドフリートは教会の入り口で馬と共に待つことになった。ヴィーラントは礼拝堂の中において神父と正対して話をすることになった。
「してお話とは」
「おわかりだとは思いますが」
「成程」
 神父はゴッドフリートの言葉を聞いて納得したように頷く。
「この村のことですね」
「そして城も。私は昼にここに来たのですが」
 彼は警戒を払いつつも神父に言う。
「その時は誰もいませんでした。ただ、家や畑は見事なもので」
「まるでついさっきまで人がいたようだと」
「はい、そして夜になると」
「人が出て来た。これはどういうことかと御聞きしたいのですね」
「そうです、まずは申し上げましょう」
 彼は言った。
「貴方達は。人なのですか?」
「人とは」
「妖精か。若しくは幽霊か。そういった類ではないのですか。どうなのですか」
「それでは一つ御聞きします」
「はい」
 彼はその言葉に応えた。
「こちらにこういうものがあります」
 神父はそう言うと懐から小さな鏡を取り出した。
「御覧下さい」
 そこに自分を照らし合わせる。するとそこには神父の姿がしっかりと映っていた。
「私
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