第一章
多くは望まない、君がいるなら
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「言葉が通じねーし表情も人間より少ないからアンタが大体何を言いたいかが分かっても、今アンタが何考えてんのか時々分からくなるんです」
「……」
「土方さん。だから早く戻ってきて下せェ。早くアンタを抱きたい」
(……嗚呼、コイツは)
(人間の俺と猫の俺を心のどこかで別物扱いしてるのか)
(総悟。総悟。呼んでやりたくても鳴き声しか出てこねェ)
(くっそ……そんな顔するな。そんな、苦しそうな顔させてェ訳じゃねェんだ)
「みーご。みーご」
沖田の腕に身体を擦りつけ、できる限り優しく鳴く。この気持ちが伝わって沖田の不安を取り除ければいい。そう思いながら。
いつの間にか土方自身の不安はどうでもよくなっていた。沖田の顔を見たら、沖田の不安の方が大きいような気がしてしまったから。
「……もしかして俺の名前呼んでんですかィ」
「みーご」
「ハハッ……アンタらしいや」
沖田の指が土方の顎を擽る。土方は気持ちよさそうに目を細めて沖田の手に身を委ねた。
多くは望まない、君がいるなら
(とりあえず今は、これでいい)
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