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母の想い
5部分:第五章
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第五章

「お母さんが戻って来るって言ってたのは」
「それ前に私が言ったけれど」
「それでもな。信じきることができなかった」
 ここで無意識のうちに視線を落とすのだった。そこには様々な御馳走が置かれているがそれは今は目には入っていなかった。清音の作った御馳走も。
「どうも。信じきれなくてな」
「そうだったの」
「けれど。さっきの話を聞いて」
 変質者の話である。
「それに頷けるようになった。ひょっとしてってな」
「私は何となくそうじゃないかしらって思っていたけれど」
「そうか、そういうことなのか」
 お父さんはまたあらたまって述べた。
「お母さんは。そうして清音の側にいてくれたのか」
「お母さんって人間の姿をしているとは限らないのね」
「そうだな。例え猫の姿をしていても」
「ええ」
「お母さんはお母さんだ」
 ここでまたホワイトを見る。やはり寝たままだ。
「御前のな。お母さんなんだよ」
「ホワイトは自分でわかってるのかしら、このこと」
「さてな。わかっていないかも知れない」
 見れば本当に呑気な様子だった。猫らしいと言えば猫らしい。その猫らしい様子で寝ている。それを見ていると人間とはどうしても思えないのだった。
「それでも。若しそうだとしたら」
「私はずっとお母さんに護ってもらってたのね」
「そうなるな」
 娘の言葉にこくりと頷くのだった。
「ずっとな。お母さんがいてくれているんだ」
「だから寂しくなかった」
 このことをまた口にする。
「そういうことだったのね」
「嬉しいんだな」
「ええ、とても」
 何の淀みもない笑みで父に答えた。
「お母さんが私の側にずっといてくれてるってわかったから。それでね」
「そうだな。何かお父さんもな」
「嬉しいの?」
「嬉しくないわけがないだろう?」
 お父さんもまた微笑んでいた。優しい笑みだった。その優しい笑みで清音とホワイトを交互に見つつ言うのである。優しい声で。
「そうかも知れないってわかったからね」
「じゃあ。これからも」
「これからも?」
「宜しくね、ホワイト」
 ホワイトにその淀みのない笑顔で声をかけるのだった。
「いえ、違うわね」
 しかしすぐに言葉を訂正する。
「お母さんだったわね。お母さん」
「ははは。今は寝てるぞお母さん」
 お父さんが横から語る。
「だから言っても仕方ないぞ」
「そうね。気持ちよさそうに寝てるわ」
「そうだな」
「それじゃあ。後はお母さんの為に御飯を作っておくわ」
「それはいい。じゃあそちらもな」
「やっておくわ。それじゃあ」
「うん」
 コップをそれぞれ前に出す。そうして打ち合わせて乾杯する。そのうえでまた言い合う。
「お父さんとお母さんのこれからの為に」
「清音とお
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