否定に傾く二人の
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たバカ共の心も嘘にしたくないんだぁ」
耳に入れて、特殊な考え方だなと桂花は思う。
理解は出来た。納得も出来た。
明の見え方は違うのだ。
そういった後悔を持つ事は他人を幸せにしたいのではなくて、自分が幸せになりたいだけの薄汚い欲望に思えるのだろう、と。
「あたしは欲張りだけど、欲深い人間にはなりたくない。それにさ、華琳様はこの気持ちを肯定してくれたんだよね……だから従うし、華琳様の作る世界の為に戦うし、絶対に裏切らない」
「華琳様が?」
一寸驚く。そんなことを華琳と話しているとは思わなくて。
「そだよ。ふふっ、あんな小っちゃいのにびっくりするくらい大きく見えちゃった」
その時の華琳を思い出し、明は苦笑を一つ。
「人の生死に興味無い。生きたいって願う人の苦しみと渇望を喰らって愉悦を得ていた紅揚羽はそのまんまなんだけど、あたしのことある意味で華琳様自身と似てるとか言ってたっけ」
「……はぁ? あんたと華琳様が同じなわけないじゃない」
聞いて思わず口を尖らせた。華琳がらみとなるとやぼったい感情が湧くのも桂花にとっては詮無きかな。
「もう! 拗ねないの! ちょっとだけだってば! 足掻いてる人間が放つ光は何よりの生の証明だし、其処に感動を覚えるか愉悦を刻むかの違いだけってこと。
なんだっけな……『そういった後悔で人を救えるのなら、平等に全ての人間に機会が与えられるべき。理不尽を強いて民を扇動している者がその口で後悔を願うのなら、強欲と傲慢の極みでしかない。乱世である限り全てを救うことなど出来はしない。私達が作る世界は先にしかないのだから、後ろを向き続ける時点で救えなかった命と預けてくれた想い全てを侮辱することになる。故に、あなたが誰かの心を嘘にしたくないと望むのなら私の将でいい』……なんて」
ああ、と桂花は嘆息を零す。
やはり仕える主は華琳しか居ない、と。
「それでも大切だからこそもしもを考えちゃうのは仕方ないことだけどねー。あ、桂花は割り切って前を見て引き摺らないみたいだから問題にゃーい♪ 嬉しいよ、あたしは♪」
にししと笑う明は、再びぎゅうと抱きしめる。その綺麗な笑顔に、桂花は少しだけ頬を綻ばせた。
「あんたがそうやって笑えるなら、少しでも夕に救いがあったのかもしれないわね」
「そりゃあ! ひひっ、愛だよ、愛! あたしのこと想ってくれる夕の愛に嫉妬した?」
「あんたが言うと安っぽいんだけど」
「うわ、ひっどーい! あたしは桂花のことだって愛してるのにぃ!」
「……っ……気持ち悪いからやめなさい」
「愛い奴じゃ愛い奴じゃ」
「や、め、ろ! バカ明!」
ぐいぐいと押しやって、彼女達二人は新しい関係を築いていく。
くだらないやり取りを繰り返し
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