異世界だと知った今日この頃。
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死ぬのは怖い……死にたくない……
トラックに轢かれた時の痛みが、苦しみが、蘇ってくる。
「えっ……!?」
母の声で我に返った。
どうやらあの日のことを思い出していたみたいだ。
血があの日の記憶のトリガーになるのかもしれないな。
というか手が地味に痛い。
「たっ、大変! 『傷付きしものに聖なる力を分け与えん。回復』」
!?
えっと……。
中二?
心は中二なのかな?
なんて思っていたら、突然俺の右手が謎の発光を始めた。
ピンク色の、幻想的な優しい光。
俺は思わず見惚れてしまった。
その光に触れていると、なんだか気分が少しだけ高揚した気がした。
なんか不思議な気分だ。
謎発光は数秒で消えた。
俺は光が消えた後すぐに、手の痛みが消えていることに気づいた。
すぐさま手を見ると……血塗れ。
……やっぱり流れた血は落ちませんよねー。
まあ、傷は塞がってるっぽい。
でもこれって……。
「よし、治ったぁ。ごめんね、アルくん」
「キャッキャッ」
……俺はいよいよ此処が異世界だということを認めなければならないらしい。
いや、ある程度予測はしてたが……。
此処が地球だと思いたかったがもうどうしようもない。
妻に会いたい。
でも、俺は此処が何処だとしても一生懸命生きて行くよ。
もう死にたくないしね。
本当、死ぬのって怖いし、苦しい。
できることなら次は老衰で死にたい。
俺は生きる決意を固めた。
というか、あの水晶玉って何だったの?
爆発物?
その母さんが驚いた顔をしながら部屋を出たことを俺は知らなかった。
────
一歳になった。
父さんは仕事で家にいないことが多い。
なんの仕事をしてるのかは知らない。
一年経って知ったのだが、この世界でも一年の日数はあまり変わらないらしい。
そして誕生日は地球のものよりか重要視されていない。
拍手で終わる誕生日。
少し寂しいな。
あと、俺はついにハイハイが出来るようになった。
これでやっと俺にも念願の移動手段が出来たんだ。
やった、やったよ俺。
さあ、何をしよう。
ハイハイでなんて行けるとこが限られてるしな。
うーん、家を探索でもするか。
取り敢えず母さんに許可を求める。
「ままぁ、いえ! たんけん! いこ?」
と、俺は上目遣いで言う。
……俺の身体的年齢は一歳。
一歳なのだ。
こんな感じでいいと思う。
「えっと、うん! 行きましょ!」
「やったぁ」
俺は
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