マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
0931話
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じ取る。
視線を向けると、猫耳を付けてメイド服を着ている女がそこにはいた。眼鏡を掛けているところも見ると、一瞬誰かの趣味かとも思ったが、すぐにこの世界にはエルフやドワーフといった他に獣人がいるというのを思い出す。
「その、お食事をお持ちしたのですが、よろしいでしょうかニャ?」
そう告げ、差し出されたのは木の皿に入ったスープとパン。
野菜や肉といった具材も多く入っている。
「籠城戦だってのに、随分と豪華な食事だな」
籠城である以上は食料は大事な筈。そう思って尋ねたのだが、獣人のメイドは首を横に振る。
「確かに普通に考えればそうですが、今回はアクセル様達が守ってくれると聞いておりますニャ。だから食料を節約する必要はないので、寧ろ豪勢な食事にして皆の士気を上げた方がいいとピニャ殿下が仰り、こうなりましたニャ」
「へぇ」
受け取りスープを口に運びながら感心する。何だかんだ言っても、やっぱりそれなりに有能ではあるんだよな。
スープ自体にも肉や野菜の味が染みており、身体にしみじみと染み渡るような味だ。
決して晩餐会で出るような豪華な料理ではないが、籠城戦をやっている中での料理としては極上と言ってもいいだろう。
そのスープとパンを味わいつつ、離れたところに控えている獣人へと尋ねる。
「獣人というのはこの世界では初めて見たけど、珍しいのか?」
ネギま世界のヘラス帝国辺りには大量にいそうだけど、この門世界では殆ど見た覚えがない。そう思って尋ねたのだが、メイドは小さく笑みを浮かべて頷く。
「そうですね、先代の領主であるコルト伯爵様の趣味……というのが強いですニャ。帝国内では亜人はあまり好まれませんので」
そうか。と頷こうとした、その時。
思わず動きを止める。
「へぇ、こっちに来たか」
「なんですかニャ?」
その言葉に返事をせず、そのままスープとパンを胃袋に収めて食器をメイドへと返す。
「もう戻れ。……望んでいない客が来た」
「っ!?」
それだけで俺が何を言いたいのかが分かったのだろう。大きく目を見開くと、そのまま俺から受け取った皿とスプーンを持ったまま走り去って行く。
その後ろ姿を見送り、暗闇に紛れて近づいてきている盗賊に向かい……笑みを浮かべて待ち構えるのだった。
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