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魔法科高校の神童生
Episode36:依存の先
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なんて、そういないだろうから」

 依存したままではダメだとわかっている。今回で特にそれを理解した。これから先、俺はエリナから離れてもいいように強くならなくちゃいけないだろう。

 でも、少なくとも今は無理だ。
 怖い。みんなが離れていってしまうと思うと、途轍もなく怖い。

「怖いんだ」

 ギュッと、気づいたら、姉さんに抱き締められていた。その時始めて、俺は自分が泣いていることに気づいた。

「辛いのは、分かる。隼人の苦しみは私も理解できるわ。同じ経験があるしね。だから、先駆者として言っておくわ」

 温もりが離れて、姉さんの顔が正面に来る。
 いつものヘラヘラしたような表情じゃなくて、母さんみたいな、慈愛に満ちた笑み。

「あなたが絶望する程、世界は理不尽じゃないわ。確かに、隼人がやっている事を見て、あなたから去っていく人もいるでしょう。寧ろ、そっちが普通よ。
 けどね、付いてきてくれる人は、必ずいる。エリナがその証明でしょう?
 だから隼人は、自分を曲げないで生きなくちゃならない。あなたの願いは、少しでも道を間違えれば、あなたを怪物に変えてしまうのだから。
 隼人が、自分の信念の通りに生き抜くなら、理解してくれる人が必ずいるわ。そんな人を、少しずつ増やしていきなさい。九十九(私達)は、そうやって生きていくのよ」

 自分の、信念。
 俺の抱く想い、願い。
 なぜ暗殺をするのか。なぜ戦うのか。

「そして、理解者が現れたのなら、全力でその人を護りなさい。そして奪われたらーー」

 ああ、分かったよ姉さん。
 そうだ。うじうじするのはこれで止め。まったく、我ながら似合わない事をしていたものだ。

「奪い返せばいい、でしょ?」

 分かってるじゃない、なんて言って笑う姉さんに、俺もつられて笑う。

 差し当たってまず、三高との戦いで、確実に紫道を倒す。そして、エリナへの手掛かりを掴んでみせる。諦めたりは、しない。



ーーto be continuedーー
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