Episode36:依存の先
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崩れたのを捉えながら、達也は幹比古により示された目標の真上へ向けて走った。
僅か二部屋の目的地点まで十秒もかからない。倒れていた相手ディフェンダーが動き出した気配を感じながら、達也は真下へCADを向けた。
五階の床から三階の床まで約七メートル。余裕で鍵の射程、十メートル以内である。
引き金を引いて、微かなエイドス改変の手応えが返ってくる。達也は念のため、来た方向の逆側の階段から下の階へ向かった。
視覚同調を発動している幹比古の目に、精霊を通してモノリスの内側により刻まれたコードが映る。
視点を移すと、レオは現在敵と接触していなかった。しかし、なにが起こるかは分からない。それが実戦というものだ。
少しばかりの幸運を祈りつつ、幹比古はウェラブルキーボードにコードを打ち込んでいった。
幹比古が凡そ半分程コードを打ち終えた時、足元に置いてあった通信端末から隼人の声が響いた。
『レオは右に、達也は左に飛んでくれ!』
珍しく、切羽詰まったように言う隼人に、思わず幹比古は視点をレオへと移した。
レオは未だ戦闘を行ってはいないが、恐らく達也は敵のディフェンダーと戦闘中だ。
隼人が注意を促したということは、先程倒された二人を除く残り一人が、外部からレオに向けて攻撃を行ったのだろう。
それを、隼人は世界の心眼で視て、魔法を叩き落とす。
スナイパーから放たれた雷の矢は、それぞれの大会規定ギリギリの魔法を二人に当たる前に相殺してみせた。更に、そのすぐ後に射られた二射目、三射目により、敵ルアーと達也と交戦中のディフェンダーに牽制を送る。
(まったく、本当に頼もしいよ隼人は…!)
幼馴染の的確すぎるフォローに、頼もしいやら嫉妬やらで、泣きそうになる幹比古であった。
☆★☆★
結局、一高と二高の試合はコードが打ち込まれたことによって一高の勝利となった。
緻密、とは言えないが見事な作戦勝ちに再び天幕が湧く。その歓声を横目に、隼人はモニターに映る三高の試合を見ていた。
渓谷ステージで行われている三高と六高の試合だ。
試合開始からまだ二分程しか経っていないにも関わらず、既に六高の選手は二人も戦闘不能に陥っている。
(勿論、一条君に有利な地形だってこともあるんだろうけど……)
一条の切り札の『爆裂』は液体を気化させて爆発を起こす発散系統の魔法だ。水溜りのある渓谷ステージは、一条にとって謂わば巨大な弾薬庫。そんな有利な地形も相まってか、初めから一方的な展開を読んでいた隼人だったが、少々この結果は予想より上だった。
普通に考えて、三高が六高にここまでのハイペースで攻めなければならない理由はないは
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