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魔法科高校の神童生
Episode36:依存の先
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し、レオに一人撃破を喜んでいる暇はない。
 自分の体に移動魔法がかかるのを察知して、レオは慌てて叫んだ。

Halt(ハルト)!」

 ヘルメットの口元に仕込んだマイクを通して、音声認識スイッチが左腕のCADを起動させる。
 自身の靴裏と接触している地面と、自身の体を媒体としてその二つの相対座標を固定する硬化魔法は、完全に出遅れていたにも関わらず、スーパーエンジニアである達也によって大幅に書き換えられた起動式が功を奏し、ギリギリで敵の移動魔法を封殺する。

 奇襲が失敗したからだろう。学校の旧校舎を想定して作られたこの建物の廊下を二高選手が走り抜けていった。それを見届けて、レオは倒れている二高選手のヘルメットを外した。
 大会の規定により、ヘルメットを外された選手はもう戦闘行動には参加できなくなるのだ。

 さて、ここからどうするかとレオは思考を巡らせる。
 自分の役割はモノリスの死守。それが覆ることはないが、このまま受け身でいればいずれ突破されてしまうのも事実。

 とはいえ、典型的な脳筋タイプのレオに妙案が浮かんでくるはずもなく。
 危うく自分の役割を忘れて思考の海に潜り込もうとした時、通信機から隼人の声が聞こえた。

『敵が外から旧校舎へ魔法を撃とうとしてる。迎撃するから、レオは気をつけて』

「っと、りょーかい。思いっきりやってくれて構わねえぜ」

 恐らくは先程校舎内でレオに奇襲を仕掛けてきた選手だろう。校舎内からの攻撃を諦めて、レオに見えない所からの奇襲を狙ったのだろうが。



「そんな開けた場所にいたら、バレバレだよ」

 ここはこのステージで一番高い高層ビルの屋上。彼我の距離約三キロメートルの場所。
 世界の心眼(ユニバース・アイズ)で戦場を俯瞰していた隼人はおもむろに立ち上がり、雷で形作られた矢を番えた。

「翔けろ」

 放たれたのは、大会規定に収まりつつ、確実に敵の意識を刈り取る程に威力が抑えられた雷の矢。
 魔法行使に意識を割いていた二高選手は、放たれたソレに最後まで気づくことなく、雷に撃たれ意識を手放した。

「ふぅ。一人撃破、っと…さて、どう動いてくるかな?」

 恐らく、今の魔法で隼人の居場所は敵にバレてしまっただろう。
 今回隼人に与えられた役割は、謂わば『スナイパー』。故に、居場所がバレて強襲されるのは余りいいとは言えない。
 勿論、敵が一度に襲って来ようが対応できる自信は十分にあるが、それではダメなのだ。
 実際の所、隼人だけでこの試合を片付けるのは容易だ。だが、今回のモノリス・コードは、幹比古にとって転換点とも言える重要な戦いだ。
 自信を失っているかつての神童を目覚めさせるために。隼人は、暴れる訳にはいかなかった。

 幼馴染
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