Episode36:依存の先
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らせる」
「クク…お前に、できる、とでも?」
紫道の言葉に耳を貸すな。
やるしかないのだ。これ以上被害者を出さない為に。
「やってやるさ」
血塗れの王子は、狂人に向けそう誓った。
☆★☆★
「ねぇレオ…なんか、隼人の様子がおかしくないかい?」
モノリス・コード予選第二試合まで残り十分となったところで、外の空気を吸いに出ていた隼人が天幕へ戻ってきた。
しかし、その様子はどう見てもリフレッシュしてきた人のものではない。目つきは先程よりも険しくなっているし、機嫌も悪いようだ。
「さあ、なんかあったんじゃねーのか?」
とはいえ、それを気にしているのは幹比古だけのようだ。
どうもレオや達也はそんな時もあるさ、くらいにしか考えていないようだが。
「わかってない…全然わかってないよ! 隼人がキレたら、キレたら…!」
「お、おい幹比古!?」
しかし、突然震え始めた幹比古に、レオだけでなく達也ですら心配そうな表情を浮かべる。
「隼人がキレたらどうなる?」
「……昔、隼人と隼人のお姉さんが姉弟喧嘩をしたことがあってね。理由はもう覚えてないんだけど、普段は全く怒らない隼人が、珍しく怒って……」
「怒って、なんだよ…?」
震えながら俯く幹比古に、レオまでもが不安にかられてしまう。恐る恐る問いかけたレオに、意を決したように幹比古は顔を上げた。
「魔法も使った喧嘩の末に、山一つが、吹き飛んだんだ…」
「………」
「………」
これには流石の達也も何も言えなかった。
山一つ消し飛ばす程の姉弟喧嘩、色々とツッコミ所が多すぎて触れるに触れられないのだ。
誰も何も言えない奇妙な沈黙が流れる。流石に試合前にこれはマズイと思った幹比古が何かを言おうとしたが。
「三人とも、そろそろ行くよ」
件の隼人が、凄くいい笑顔で幹比古の背後に立っていた。
「は、隼人…その、大丈夫…?」
「ん? 大丈夫も何も、寧ろやる気満々だよ。どうして?」
先程の張り詰めた雰囲気は何処へやら。今の隼人はとても穏やかな笑顔を浮かべている。ただし、目以外だが。
「い、いや、なんでもないよ。行こうか、ハハハ…」
「お、おう、そうだな。き、気合い入れていくぜ!」
二人ともどうしたんだろう? なんて首を傾げている隼人は自分が今どんな顔をしているのか分かっていないのだろう。
取り敢えずなにかあったのだと確信した達也は、無理するなよという意味を込めて、隼人の肩を叩いた。
「行くぞ」
「な、なんか皆様子がおかしいよ!?」
試合開始まで残り五分。微かな波乱の予感を確かに感じながら、達也はステージへ向
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