遊園地のチケット
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「空音、今日は何して遊ぼうか」
高校生になった俺は、暇を見つけては、妹の空音と遊んでいた
空音は10歳だ。友達と遊んだりしている。でも、友達と遊べないときや、家に帰ったときは、一人になってしまう
俺たちには、親がいない。お母さんは入院していて、お父さんは仕事でいつも家にいない
だから、空音は寂しい思いをしていた。そんな空音を、俺は兄としてほっとくわけには行かない
「空音、今日は何がしたい?」
空音はいつも、かくれんぼ、とか、鬼ごっこ、とかを言うが、たまに言うんだ
「遊園地に行きたいな」
って。その時、俺はいつも言うんだ
「ごめんな、遠いし、お金も、時間も、ないんだ。本当にごめんな。また今度にしよう」
俺がそう言うと、空音は「うん、わかった。ごめんね、お兄ちゃん」と言うんだ
謝るのは俺の方なのに。何もできない、俺のほうが謝らなければいけないのに
どうしても、学校や勉強が重なって、時間を取ることができなかった
そんな日々が、何日も、何週間も過ぎた
ある日、おじいちゃん、おばあちゃんが、不自由な暮らしをする俺たちに、少しでもいい思いをさせてやろうという気持ちで、お金を送ってきた。それは、遊園地に行くに十分なお金だった
そうだ、遊園地に行こう。このお金の使い道はそれしかない
俺はそれを見て、空音の部屋へと急いで走った。そして、勢いよくドアを開けた
「そうだ、遊園地に行こう!空音、今度の日曜日・・・・」
しかし、ドアを開けた先に、空音はいなかった
「空音?出かけたのか?」
そう思い、玄関へと行ってみたが、靴はある、もう一度部屋に戻ってみるが、ランドセルもあるし、どこかに出かけたあとはない
じゃあ・・・・空音は・・・・
空音は、どこに?
突然、俺の妹、空音は、いなくなってしまった
空音は、どこかに隠れてるんじゃないか。そう思って、今度は、タンスの中、ベッドの下、机の下を探した
しかし、空音はどこにもいなかった
「空音・・・・空音!!」
名前を呼んだが、返事もない。まず、この部屋に、この家にいる気配がない。どこに行ってしまったんだろう、空音は・・・・
その時、ふと、机の上に目をやった。そこには、青色の画用紙に「遊園地のチケット」と書かれた紙を見つけた
そうか、このチケットで、空音は遊園地に行った気持ちになっていたのかもしれない。本当に悪いことをした
これを持てば、空音の気持ちになれるかな。空音の行きたかった場所に・・・・
その時、青い紙が輝きだした
「うわぁ!」
その輝きで、思わず俺は目を閉じた。紙が輝きを失い、元の紙に戻るころ、俺は目を開けた
その時、俺はふわふわとした真っ白のクッションのような場所に居た。上を見上げると、雲一つない青空が広がっている
そして、クッションのようなものの隙間から下を覗
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