四十七話:かの人を刺し殺した日
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あれから借金を返しながらヴェルからの連絡を待っていたルドガーの元についに連絡が入り、本物のマクスウェルを見てみたいので連れてこいというビズリーの指令の元、ミラとエル、そしてリドウの一件以来、クランスピア社が信用できないジュードとローエンが三人だけでは心配だと言う理由で一緒について来てくれた。ルドガーとしても“ミラ”の事を許せない為に二人の申し出は嬉しかった。
『ルドガーとマクスウェルだけを呼び出したつもりなのだが?』
クランスピア社前にルドガー達が着くと部下を整列させて待っていたビズリーは、ジュードとローエンを見るなりそう言った。その台詞に上司であるにもかかわらず思わず、ムッとして睨みつけるルドガー。しかし、そんな視線にもビズリーは全く動じることは無い。そんな姿を見てアーサーは今までは冷酷な本性を隠すために猫を被っていたのではないかと考える。
『クランスピア社は信用できませんから』
『意外にはっきり物を言うのだな、Drマティス。黒匣も精霊も維持しようなどという、半端な理想を語る割には』
ジュードが厳しい視線を向けながらハッキリと信用できないと言うのにも動じずに嫌味を返すビズリー。そんな様子にやはりビズリーという男は油断ならない男だと再認識するヴァーリ。ビズリーは、嘘は言ってはいないが真実を隠してルドガー達を利用していたのだ。もっとも、まだまだ真実を隠しているのだが。
『二ヵ国の和平条約は成りましたよ』
『わざわざのご報告、感謝します。一市民としても、喜ばしいことです、ローエン宰相』
一瞬で険悪なムードになるがそれでもビズリーは顔色一つ変えようとはしない。そもそも、なぜ、ビズリーがこうも険悪なムードを作り上げたのかというと目の前に彼がこの上なく憎んでいる存在がいるからだ。
『なるほど、お前がビズリーか。確かに、一筋縄ではいかないようだ』
『そういうお前が本物の、マクスウェルか』
『エルのミラだって本物―――』
エルがまるで自分の“ミラ”が偽物だと言われたように感じたのでビズリーに反論しようとしたが、それをミラが手で制して止め、エルを守るように前に進み出る。
『ミラ=マクスウェルだ。間違うな』
『さすが精霊の主。気位が高い』
睨みつけてくるミラに対して、瞳の奥に憎悪の炎を燃やしながら睨み返すビズリー。彼は黒歌達にはよく分からなかったが精霊を憎んでいるのは間違いない。故にこのような視線をミラに向けているのだ。しかし、ミラはそんな視線にも、たじろぐことなく時空の狭間は安定したことを聞く。それに対してヴェルが肯定し最後の道標が存在すると推定される分史世界の座標をルドガーのGHSに転送する。
『残る道標の正体は、判明しましたか?
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