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未亡人のミサ
1部分:第一章
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すので」
「それではそれで」
「話は決まりですな」
 村人達も彼女の言葉を聞いて安心した。どうやら話はそれだけだったようだ。
「じゃあそういうことで」
「ミサの方は私が」
「全部やって下さいますか」
「ええ、お任せ下さい」
 牧師はにこやかに笑ってマシューに答えた。互いに知った仲なのでこうしたやり取りも話の段取りも実にさばけたものであった。
「ではそういうことで」
「はい」
 こうして夫の一周忌のミサを行うことが決まった。それからは何事もなく日が進んだがミサの前日の夜。マシューが自分のベッドで静かに寝ていると不意にトトが騒ぎ出したのだった。
「ワン、ワン」
「?トト?」
 まずはその鳴き声に目を覚ました。
「何をそんなに騒いでいるの?こんな真夜中に」
「ワン、ワン」
 トトは相変わらず吠えている。吠えているのは窓に向かってだった。彼女が目が覚めた時にあることに気付いたのだった。それは。
「やけに明るいわね」
 このことだった。部屋が真夜中で灯りも消しているというのにやけに明るいのである。まずはそれを奇妙に思ったのだった。

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