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SAO−銀ノ月−
第椅子取話 参
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「まず……!」

 突如としてマサキが目の前に現れたことに驚いたリズは、シリカの前で大きな隙を晒してしまう。シリカはそれを見逃さず、短剣ソードスキル最速の単発技《ファスト・エッジ》を発動すると、リズのライフがきっかり0となって消滅する。

「リズ!」

「……逃げるぞ、シリカ」

「え、えっ……マサキさん!?」

 リズを倒した喜びを感じるより先に、シリカはマサキに手を引っ張られてリクヤから逃げさせられる。二人でかかればリクヤさんを倒せるのではないか――シリカはそう考えたものの、かなりの大ダメージをマサキが負っていることに気づく。リクヤの一撃は、それほどまでに彼ら彼女ら軽装プレイヤーには痛手なのだと。

「はい!」

 しかしそれは、リクヤには逃げた二人を追えないということを意味する。シリカはマサキの言うことを理解し、何やら腕時計に対して喚いているリクヤを置いて、マサキに手を引かれて林から走りだしていく――前に、マサキが急に立ち止ったために、背中に体当たりする形となって止まる。

「ま、マサキさ……?」

「…………」

 その足下には深々と投剣が突き刺さっており、このまま走っていてはどちらかに命中していた。シリカは恐る恐る頭上を見ると、その木の枝に忍者のように1人の女性プレイヤーが乗っていた。

「悪いけど、逃がさないわ」

 両手に投剣を構えながら、ユカがマサキたちを見下しながら登場する。マサキの投剣ソードスキル《スモッグ》を無効化した、遠距離から投擲された投剣はやはりユカのものだったか、とマサキは再認識する。マサキは何とか上方から放たれる投剣を避けられるルートを導き出し、シリカの手を引きながら逃げようとするが、ユカも木から木へと場所を飛び回ってそのルートを変える。

「そうそう、リズの仇もあるし遊んでけって!」

 後ろからリクヤも徐々に追いすがってくる。マサキたちはある木の幹にまで追い込まれ、額に浮かび上がっていた嫌な汗を拭う。そしてマサキの索敵スキルは、新たなプレイヤーの接近を捉えていた。

「マ、マサキさん……マサキさん1人なら逃げられ――」

「待てシリカ。……誰か来る」

 先の戦闘で吹き飛ばされたリーファか――とは一瞬考えたものの、その吹き飛んだ方向とは違う場所からの襲来。それが吉と出るか凶と出るかは分からないが、その乱入者による混乱を祈るしかない。

「エギルさん……!」

 木々をその斧でなぎ倒しながらやって来たのは、シリカが言う通りに巨漢の巨人ことエギル。何故かチームメンバーもおらず、息も絶え絶えにそのシリカの声でようやくリクヤたちに気づいたようだった。エギルはハッとしたような表情になると、戦うこともせずに大声で叫びだした。

「逃げろ! ――
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