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SAO−銀ノ月−
第椅子取話 参
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「……つまり、高所エリアの方でマサキたちとリーファたちがかち合ってる、ってことか」

 砂浜エリア、現在0ポイントで最下位のリクヤチーム。腕時計から現れたホークから情報を聞いたリクヤは、そう聞いて何か考え込むような動作をした。どうやら位置的には、ショウキたちのチームの方が近いようだが……

「どうする?

「決まってるでしょ?」

 リクヤは一応二人にも意見を伺うが、ユカとリズの意見は既に決まっていた。楽しそうな方に行こう、と。……もちろんリクヤもそのつもりであるが。

「よっしゃ、殴り込みといくか!」

『行くなら向こうにトロッコがある。使うと早いぞ』

 わざわざ、乱戦になると分かる方に行くリクヤたちを呆れた顔で見ながら、ホークはその情報を新たに付け加えた。リクヤたちは砂浜から動かなかった為に気づかなかったが、確かにホークの言った通りに、砂浜から林に行くまでの間に古びたトロッコが置いてあった。これなら海岸から速く移動出来そうだ。

「おっ、ありがとな!」

『もちろん今の分の金は取るが』

「……つけてるだけで借金まみれになりそうね、その腕時計」

 問題なく三人ともにトロッコに乗り――少し二刀の大剣が邪魔だったが――リクヤが操縦桿を握る。そこにはよく見なければ分からないほどに、薄くコースが設定されていた。現実なら横転確実だが、この仮想空間ならそんなものか、という意見のみで済む。

「せりゃ!」

「リクヤ、頑張ってー――って!」

 勢いよくリクヤが操縦桿を引くと、古びたトロッコの操縦桿が壊れそうな音を響かせ、そのままカーゲームのようにロケットスタートをきっていく。コースの間をブレーキなく爆走し、瞬間的な風圧がトロッコに乗った三人を襲う。

「ブ、ブレーキ! リクヤブレーキ!」

「ブレーキってどれだ!? ……これか!」

 目も開けられぬ状況の中、なんとかリクヤはトロッコのブレーキを握り――ボキッ、という嫌な音が風の中で三人の耳に届いた。

「……折れた」

「はぁ!?」

 操縦桿以上にサビたトロッコのブレーキに、リクヤの有り余る筋力値を耐えられる耐久性はなく、慌てていたこともあってあっさりと折れる。それはもう修正不能な程で、ブレーキを失ったトロッコはスタートダッシュの勢いそのままで、高所エリアへと向かって行く――


 ――その高所エリアでは。

「ピナ、ブレス攻撃お願い!」

 シリカの肩に乗ったピナが大きく息を吸うと、泡のブレス攻撃が二刀を握ったルクスへと襲いかかる。しかし白い剣の一振りにブレスは弾かれ、後ろで待機しているリーファどころか、先頭で防御を固めるルクスにすら届かない。

「どうしたんだい? 近づいてこないようだけど」

 ルクスが
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