第椅子取話 参
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「……つまり、高所エリアの方でマサキたちとリーファたちがかち合ってる、ってことか」
砂浜エリア、現在0ポイントで最下位のリクヤチーム。腕時計から現れたホークから情報を聞いたリクヤは、そう聞いて何か考え込むような動作をした。どうやら位置的には、ショウキたちのチームの方が近いようだが……
「どうする?
「決まってるでしょ?」
リクヤは一応二人にも意見を伺うが、ユカとリズの意見は既に決まっていた。楽しそうな方に行こう、と。……もちろんリクヤもそのつもりであるが。
「よっしゃ、殴り込みといくか!」
『行くなら向こうにトロッコがある。使うと早いぞ』
わざわざ、乱戦になると分かる方に行くリクヤたちを呆れた顔で見ながら、ホークはその情報を新たに付け加えた。リクヤたちは砂浜から動かなかった為に気づかなかったが、確かにホークの言った通りに、砂浜から林に行くまでの間に古びたトロッコが置いてあった。これなら海岸から速く移動出来そうだ。
「おっ、ありがとな!」
『もちろん今の分の金は取るが』
「……つけてるだけで借金まみれになりそうね、その腕時計」
問題なく三人ともにトロッコに乗り――少し二刀の大剣が邪魔だったが――リクヤが操縦桿を握る。そこにはよく見なければ分からないほどに、薄くコースが設定されていた。現実なら横転確実だが、この仮想空間ならそんなものか、という意見のみで済む。
「せりゃ!」
「リクヤ、頑張ってー――って!」
勢いよくリクヤが操縦桿を引くと、古びたトロッコの操縦桿が壊れそうな音を響かせ、そのままカーゲームのようにロケットスタートをきっていく。コースの間をブレーキなく爆走し、瞬間的な風圧がトロッコに乗った三人を襲う。
「ブ、ブレーキ! リクヤブレーキ!」
「ブレーキってどれだ!? ……これか!」
目も開けられぬ状況の中、なんとかリクヤはトロッコのブレーキを握り――ボキッ、という嫌な音が風の中で三人の耳に届いた。
「……折れた」
「はぁ!?」
操縦桿以上にサビたトロッコのブレーキに、リクヤの有り余る筋力値を耐えられる耐久性はなく、慌てていたこともあってあっさりと折れる。それはもう修正不能な程で、ブレーキを失ったトロッコはスタートダッシュの勢いそのままで、高所エリアへと向かって行く――
――その高所エリアでは。
「ピナ、ブレス攻撃お願い!」
シリカの肩に乗ったピナが大きく息を吸うと、泡のブレス攻撃が二刀を握ったルクスへと襲いかかる。しかし白い剣の一振りにブレスは弾かれ、後ろで待機しているリーファどころか、先頭で防御を固めるルクスにすら届かない。
「どうしたんだい? 近づいてこないようだけど」
ルクスが
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ