外伝
外伝《絶剣の弟子》A
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ウキさんは頼もしくて……どこか寂しそうだった。
「そーそー。そうゆうことだからあんたは何も心配しないで、自分が生き残ることだけを考えてればいいの」
「……はい」
当然と言えば当然。自分が弱い故の行動。世間一般には『寄生』と言われる行為である。ユウキさんとリズベットさんの善意から生じた必然であるにしても自身の心中では納得と、もどかしさが同居していた。
それが具体的な言葉にし、言えれば2人は代わりの作戦を提示したかもしれない。
「ーーーーっぁ??」
だが、俺はそれを言おうとし口を開くと声が出なかった。
VR世界のアバターは現実の人間と違い、声帯を震わせて声を発している訳ではない。アミュスフィアが発声しようとした使用者の電気信号を読み取り、アバターの発声に変換している。
意思に反し、脳がライトが発声することを拒んだ。"建前"でしかない、ライトの表層意思のさらに深奥の"真の意思"を汲み取ったのだ。
(どうして……??)
忘れもしない『あの日』。あの子を傷つけてしまったことを、酷く後悔したあの日。暗闇に隠れ、ひたすら後悔し、自分を責め、塞ぎ込み、時間の流れで記憶を風化させて……そうやってようやく日の下へ這い出してきた。それ以来、常に誠実であろうと努力し、それを実行して来た。
して来たつもりだった。今日、この時までは。
(俺は、また……っ!)
自責の念がどくとくと溢れ出し、ようやく癒えてきた心を荒らし、ライトの、光の弱いところを抉る。
体が震え、汗が噴き出し、息が苦しくなった。
アミュスフィアがバイタル変化の警告を表示すると同時にライトのアバターは地面に膝を突いた。
「え、ライト……?」
「あんた、どうしーーー」
その音に敏感に反応した2人の声もほぼ聞こえないままに、ライトはアルヴヘイムから消えた。
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