ワールド・プレディート〜クロスクエスト〜
ワールド・プレディート
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、抱きしめた。
たったそれだけで、曼陀羅が崩れ去った。世界から虹色が掻き消えていく。空が晴れる。文様が消える。
曙光が差し込んだ。あたたかなその光は、刹那とハリンを包み込む。
「……本当、ですか?」
人間味の戻った声で、天宮刹那の名の少女が、問うた。
「本当ですよ。あなたのお兄さんがいい例です」
そう、くせ毛の狂乱者を頭にうかべて、ハリンが微笑むと。
「よかった……」
刹那もまた、瞳を閉じて、微笑んだ。
虹色となって消えていく少女。世界を修復しながら、女神は去っていった。
「……帰ろう」
大地に帰還したハリンは、喧騒が戻ってきた街へと向けて、その足を進めたのだった。
その変えるべき場所に、愛する人が待っている幸せを、かみしめて。
人は誰しも、愛し合って生きている。願わくば、その事実が、どこまでも続きますように。
時よ止まれ――――君は誰よりも美しい。
***
そこに立っているのは、一人の人物だった。光の当たり具合では金色に見えなくもない銀髪をなびかせた、軽装の拳士。
彼は今しがた、この世界の法則の交代劇をその眼に写した直後であった。結果は新法則の敗北。前法則が再びこの世界を支配した。
それは人々が守られたという喜ばしきことであると同時に、歴史が停滞しているという忌むべきことでもある。だが今は、この世界が巡っている、その幸せに歓喜するべきなのだろう。
そう、その存在――――ミオン/カノン・ナナノミヤは。仮想世界において『ゲイザー』の名を関する人物は、《白亜宮》のどの存在よりも慈悲深く、そして人々の幸せを願っている。
「……相変わらずだね、《観測者》」
その言葉と共に、何者かが姿を現した。
もしここに《神話の勇者》がいたならば、彼はその人物を見て「シャノン」と呼んだであろう。そう、その男はかの《太陽の帝王》と……ひいてはそのプレイヤーである天宮陰斗と同一の外見をしていた。異なるところは一つ、紅蓮色の瞳と、その表情であろうか。
「……貴方か、《破壊者》」
「はっはっは、あの忌むべき『三番』じゃないよ」
「そうですか……ならば紛らわしい様相をなされないでください、『五番』。今回の騒動、引き起こしたのは貴方だろう」
《観測者》はそう、『五番』と呼ばれた少年……《天宮》に語りかける。
「悪かったね。少し試したかったんだよ……僕以外の人物ならば、僕が『二番』に勝てるのか。ふふ、実験は成功だ。これで僕たちの戦績は13890勝13899敗……ってやっぱり負けてるじゃん!! くっそ、勝つためにはあと10勝もしなくちゃいけないの
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