ワールド・プレディート〜クロスクエスト〜
ワールド・プレディート
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を感知したのか、閉じたその瞳をゆっくりと開く。その仕草は、普段の刹那と違って幼さの抜けたその壮絶な美貌は、見る物を虜にしてしまうだろう。
だがハリンには通用するまい。彼には、世界を救うという意思があるのだから。
「……異物を再確認:ローディング完了:抹消を継続:データ取得完了/反逆者821番と判定。前回の戦闘データを閲覧……ローディング完了:詠唱ショートカット起動:【破」「滅】」
先ほどと同一の術を行使してくる刹那。神の差配がハリンを滅ぼさんと迫る。
しかし、それに《神殺し》は反逆した。
「……疾ッ!」
《双刀》ソードスキル、《崩旋風》。旋回範囲攻撃が、願いを纏って『破滅の概念』を両断した。
そのままの勢いを保つ。《疾風斬撃》が発動し、ハリンを高速で動かす。次に繰り出すソードスキルは、十連撃《ブラッディ・ストレイト》。
「対象の反撃を確認:術式展開:【防」「御】」
しかし十の斬撃は、その悉くが不可視の壁に阻まれる。届かない。刃が、刹那に。
だが諦めない。届かせて見せると、願う。
「【届け】ぇぇぇぇぇッ!!」
その一撃は、壁を超える。防御を透過し、白き女神へと至り――――弾かれた。
「なっ」
――――そんな。
――――結局、効かないだって!?
ハリンは愕然とした思いで引き返す。これでは打つ手なしではないか。どのようにして倒せと言うのだ――――
「……『悪意』」
だが、戦況が動かなかったわけではなかった。
「『悪意』『悪意』『悪意』『悪意』『悪意』『あ……ああああああああああッ!!!!!」
突然、刹那が苦しげに叫び始めたのだ。
軋む世界。
揺らぐ境界。
「あ、ああ、あ……お願い……いやぁ……やめてください……私を……嫌いに、ならないで……!!」
そして少女の声で。
その細い手を伸ばして、嘆願するのだ。
「――――ああ、そうか」
そこでやっと、ハリンは先ほどの攻撃が通用しなかった理由を悟った。
「なんだ、簡単じゃないか」
どうして、誰も気が付かなかったのか。
実に単純な……そう、本当に単純な対処方法だったのだ。なるほど、これはアスリウにはできまい。あらゆる事象を透過してしまう彼と、他人に興味を示せないその契約者では、絶対に不可能な芸当だ。
ある意味では――――ハリンにだからこそ、できたことだともいえる。
「刹那さん」
近づく。曼陀羅を上る。ゆっくり、ゆっくり。そこに害意は、全くない。
「だれも、あなたの事が嫌いだなんて言っていませんよ。僕たちは、貴方を傷つけない――――」
そうして、彼女を。
静かに
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