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Round《9》〜ワールド・カタストロフ〜
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v100000達成できるかもな!!」

 興奮し切った様子で、ジンが叫ぶ。タツはそんな彼に向けて、権能で再現したスキルを行使――――

「……『お前は、死……」
「だから無駄だっつってんだろうが。『俺のHPはその技能で減らないし、俺はその技能で負けない』」

 しかし、全く同じ技能で回避される。

 スキル《真実の言霊》が、複製(コピー)されたのだ(より正確には強奪されたのだろうが、タツのスキルは消えても復活する為、複製という事になる)。

「くっ……《大嘘の……」

 次に発動を試したのは、スキル《大嘘の言葉》。全ての事象をなかったことに変える、最強の無効化スキル。このデュエル大会自体を亡き者にしようとして――――


警告します(ワーニング)。貴様は今、大会運営に関して重大な損失を与えようとしています。よって、直ちにその事象を終了させなければ、全権限をはく奪したうえで無限流転監獄へと収容、この『セカイ』より追放いたします。繰り返します――――』


 脳裏に響く、冷徹な少女の声…大会のアナウンスを担当していた少女の声だ…によって、それを阻まれた。

 無限流転監獄。聞いたことのある…と言うより、《全知全能》で閲覧したことのある名前ではある。

 タツは所属上、ギリシャ系列の《神》である。そのギリシャには、神すらも投獄する監獄、《タルタロス》が存在する。

 無限流転監獄の別の名前は、《インフィニット・ネオ・タルタロス》――――その名から分かる通り、《タルタロス》の権能をもとに作り上げられた監獄なのだ。

 内部で渦巻いている、唯一許容された事象は【再生】【変革】【消滅】の3つのみ。収容された存在は、延々とそこで生まれては死んでいくだけの苦しみを味わい続ける。

 たしか死と再生に愉悦を感じる変態が自ら飛び込んで、2度と帰ってくることはなかったとかなんだとかいう馬鹿な話もあった気がするが、そんな笑い話だけで済ませられる場所ではなかったはずだ。

 つまり、大会運営は破滅させられない。

 何という手の込んだことか。アスリウの放った「そんなことをすれば、君は即座にこの『セカイ』から追放されるだろう」という言葉の意味のはこういうことか。

 この状況は、嵌め技に持ち込まれた状態と言える。タツは《全知全能》で知っている。この男を攻撃で倒すことができないという事を。彼に勝つ方法は、何らかのスキルや権能によるエクストラウィンだけである。

 そしてそれを可能とする《真実の言霊》は、ジン自身の手によって封じられた。

 万策尽きている。

 だがそれを許容するわけにはいかない。

 この身は――――《全知全能》なのだ。あらゆる事実をこの手中に収めていなくてはならないのだ!


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