俺、転生してしまったらしい。
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その女性の顔を見た途端、思わず二度見してしまった。
いや、首は動かないから二度見は出来ないんだけどね。
まず、彼女の容姿を。
顔はぶっちゃけ、めちゃくちゃ可愛い。
まるで宝石のように澄んだ、茶色い瞳。
スッとした鼻。
淡い桃色の唇は緩い曲線を描いていた。
艶のある茶髪をゴムで後ろに纏めている。
全体的に痩せているのだが、服は胸の辺りがつっかえているように見える。
それらが彼女の活発そうな雰囲気を強めていた。
これが俺が見惚れた理由である。
そして男性の方は、筋肉質だ。
だが、気持ち悪いほどではない。
彼のスラッとした体躯がそれを証明していた。
彼の黒髪はキラキラと太陽を反射している。
目は細めだが、その黒い瞳はたしかに優しい光を灯していた。
彼の口角は片方だけ上がっていて、その顔は微妙に強張っていた。
俺には何かに喜んでいるように見える。
美男美女って本当に見ると華があるね。
画になるな。
どうでも良いが。
だけど、重要な問題がまた新たに出来たぞ。
俺は前の二人を見る。
彼らは、誰なんだ。
そこまで考えた時、突然目の前の二人が何か話し始めた。
「ーーーーー」
「ーーーーー」
……全然分からん。
聞こえないと言うより理解出来ない。
顔からして何かを心配していることは分かるけどね。
最初は、まだ寝ぼけてるせいで頭が覚醒していないのかな、と思ったが、どうやらそうではないらしい。
事故の後遺症か?
身体中が動かないしさ。
保険に入ってたっけ?
入ってなかったな、たしか。
確かにあの時死んだよりかはマシなんだが。
でもなぁ……ああ。
また妻に迷惑をかけるなぁ……。
転生初日。
俺はそんな感じだった。
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