第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
??.----・error:『Nyarlathotep』Z
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抹消されたり門番に変な場所に落とされちゃったりするかもしれないから」
「門番……」
思い出したのは、つい先程まで己の影に潜んでいた化け物。矢鱈に悪食の、異空間で『門番』を名乗った怪物……“虚空の粘塊”を。
また直ぐに出会う事になるだろう、あの異形。そうなれば何を食わせる事になるだろうか、などと急に面倒になって。
「まあ、とにかく。それでさ」
「うん? なぁに?」
「うん? なにさ?」
貰った魔道具二つをポケットに仕舞いながら、二人を同時に見遣る。黒金の太陽と白銀の望月を思わせる二人に、同時に。
その『右手』を────
「一緒に行こう。此処は駄目だ、こんな檻の中は、君達には似合わない」
「「……………………」」
造化の、空も色もない、この世界の中で。伸ばして────
「……だめ。だめなの、こうじ。わたしはここで待ってないと────ワタシと逢えなくなっちゃうから。だって、あの人達がそう言ってたもの」
「……ダメ。ダメだよ、コウジ。ワタシはここで待ってないと────わたしと逢えなくなっちゃうんだ。だって、アイツらがそう言ってたから」
「ッ────…………」
虚空を彷徨う。別離に怯える少女らの『右手』は、伸びる事は無くて。ただ、無力な『右手』だけが────『混沌』に。
────さあ、時間だよ。
カチリ、と針が廻る。ある種の実感だけが、その『右手』に。虚空を彷徨うその腕が、何か────酷く邪悪で非情なモノに。
聞こえたのは、鐘の音色か。はたまた、そう聞こえるだけの機械音か。或いは────人の言葉に聞こえるだけの機械の駆動音か。
「……ありがとう、こうじ。代わりに、見ているから。貴方を、わたしは」
「……ありがとう、コウジ。代わりに、見ているから。貴方を、ワタシは」
そして、慈しむように。双子の造花は、儚い笑顔と共に。
「「貴男を、ずっと──────…………」」
「───────………………」
そんな言葉すらも掻き消す、野卑で愚劣な、嘲り笑うような鐘の音色の中で。理不尽そのものに、無尽の悪意に満たされた人理の外宇宙に。無力と共に投げ出されて。
『あと、二度だ。選ばなければならぬ者よ、我が聖餐よ────お前の右腕は一つ。あの双子の右腕は二つ。故にお前は、選ばなければならぬ』
正視しては
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