宿泊
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で、ちゃんとウチに来る事! いいわね!!?」
「あ、ああ……承知した。感謝する」
「よろしい」
津波のような勢いで告げてくるクイントに押し負けた俺は、渋々彼女の家に厄介になる事を決めた。言質を取ってドヤ顔で胸を張る彼女だが、何と言うか……俺ってこういう押しの強い女性に弱いんじゃないか、という気がしてきた。思い返せばはやての時もそんな感じだった……何故か少し落ち込むな。
「……で、“隊長”はどこにいるんだ?」
「お! 会ってくれるのね? でも気が変わったのはどうして?」
「一宿一飯の恩……とでも言えばいいか?」
「なるほどねぇ〜……何となく君の性格がわかってきたかな」
「…………」
勝手に理解されてもな……それが真実かどうかなんて、本人にしかわからないというのに。
ともあれ、クイントの案内で首都防衛隊……地上本部のエリートが集う精鋭部隊の部署に顔を出した。道中、クイントから聞いた内容によると、本局がよく優秀な部隊員を横暴に引き抜きするせいで、人事の変動が激しいのだそうだ。それによって地上と本局の関係はかなり悪く、レジアスという男がよくブチ切れているとか何とか……。
ま、俺から言える事があるとすれば……。
「他所の組織のゴタゴタなぞ知った事か」
「うわ、ぶっちゃけた! この子、凄いことぶっちゃけたわね、クイント!?」
「こう言ってるけど、別に性根は全然悪くないのよ、メガーヌ。むしろひたすら純粋な精神の持ち主なのよね」
「確か先程の人命救助、通りすがっただけのこの少年が成し遂げたのだったな……ふむ……」
クイントの同僚である召喚士メガーヌ・アルピーノが面白そうな人を見つけたような目で俺を見つめ、“隊長”の騎士ゼスト・グランガイツが興味深い様子で頷いていた。
「ところで俺を呼び出しといて、何の用があったんだ? 頷いていないで、いい加減話してくれ」
「ああ、すまなかった。改めて自己紹介しよう。俺は首都防衛隊、隊長ゼストだ」
「メガーヌよ、よろしくね。それであそこにいるのが私の召喚虫ガリュー」
「……(ぺこり)」
人型の甲殻類のような身体をしているガリューは、無言で丁寧なお辞儀をしてきた。なのでこちらも軽く会釈しておく。しかし……この部隊は召喚獣にコーヒーを沸かせているのか。いいのか、こんな扱い……。
とりあえずゼストとクイントとメガーヌ、この3人が実質、地上のエース達なのだそうだ。実力があると当然本局の引き抜き交渉も来るわけだが、彼らにはそれぞれ意地があるらしく、地上に残る事を選んでいる。
「……それにしても管理局は、自分たちの足元をしっかり固めずに他の世界に進出しているのか。治安組織と名乗っておきながら実質、帝国主義みたいな仕組み
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