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10部分:第十章
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はこう彼に述べた。
「もうね」
「ない!?」
「この辺りも空襲に遭ったからね」
 だからだというのである。どうして廃虚になってしまっているのか、それは空襲のせいであるのは言うまでもなかった。日本は至る所を空襲によって破壊されてしまっていたのだ。
「だからね」
「それで焼けてしまったか」
「今じゃあそこに身寄りのない子供達が集まってるわよ」
「子供達が?」
「そうさ。学生さんもね」
 親をなくした子供達もかなりいた。戦争の結果である。
「いるけれどね。そういえば一人えらく可愛い娘がいたね」
「可愛い!?」
「髪はおさげにしてね。それで顔がとても白くて」
「その娘だ」
 朝香はここまで聞いただけですぐにわかった。

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