暁 〜小説投稿サイト〜
美しき異形達
第四十話 大阪の華その十七
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「戦えるさ」
「私もよ。じゃあ」
「今回はあたしと菊ちゃんでいいかい?」
 薊は菊以外の面々に顔を向けて問うた。
「それで」
「ええ、いいわ」
「それならね」
 他の面々は薊の問いに微笑んで答えた、その返答を受けてだった。
 薊は己の右手七節棍を出した、そしてそれを両手に持って構えた。
 菊も忍者刀を出した、そして苦無も出しそれぞれ右手と左手に持った。そのうえでだった。
「こっちはいいからよ」
「早く出て来たら?」
 こう相手に言うのだった。
「いつもこうした出方だけれどな」
「今回もそうなのよね」
「ああ、いつもか」
「いつもなのか」
 ここで薊達とは別の声がした、それも二つ。
 その二つの声がだ、こう言って来たのだった。
 そうしてだ、怪人達が出て来た。その怪人達は。
 一人はザリガニ、そしてもう一人は鰐だった。ザリガニの色は赤、そして鰐の色は青だ。そのそれぞれの怪人達が出て来てだ。
 薊と菊の前に出て来た、そのうえで。
 怪人達は薊と菊にだ、こう言って来たのだった。
「じゃあ今からな」
「はじめるか」
「出て来るまでは勿体ぶってるけれどな」
「今回はあっさり戦いに入るわね」
「まあそっちの方がな」
「私達としてもいいけれどね」
 二人はこう言ってその怪人達を見据えた、そのうえで。
 薊がだ、二人の怪人達に問うた。
「で、どっちがあたしの相手をするんだい?」
「俺達のうちどちらがか」
「ああ、どっちなんだい?」
「私も聞きたいわね」
 菊も怪人達に問う。
「どっちが私の相手をするのかしら」
「そうだな、じゃあな」
「ここは公平に決めるか」
 怪人達は顔を見合わせてだった、そのうえで。
 ザリガニに似た怪人は鰐の怪人にだ、こう言った。
「じゃあ俺が赤いのやるか」
「同じ色だからか」
「ああ、ロブスターの怪人の俺がな」
 こう楽しそうに言うのだった、そしてここで。
 ロブスターの怪人は自分の両手、その鋏の両手を観てだ。鰐の怪人に対してこう言った。
「じゃんけんで決めようにもな」
「ははは、御前の手だとな」
「絶対に負けるからな」
「鋏だからな」
「じゃんけんになっても一つしか出せない」
 自分でもそれがわかっている言葉だった。
「だからな」
「それでだな」
「ここはしても意味がないだろ」
「そうだな、じゃあそれなしで決めるしかないからな」
「色で決めようと思ったがな」
「そうだな、俺は色違いになるけれどな」
 鰐の怪人は自分の青い身体、身体は人と鰐の間の子であり顔は完全に鰐のその身体でだ。こう言ったのだった。
「黄色いのをやるか」
「そっちにしてくれるか」
「わかったぜ、じゃあ御前は赤いのをやれ」
 鰐の怪人は薊を見つつ相棒に告げた。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ