1部分:第一章
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父さん達ならあのおばさんでもきっとぎゃふんと言わせられるよ」
「それもそうだね」
「それじゃあ」
こうして子狐達は一旦両親のところに戻った。両親は屋敷の広間にいた。そこに子狐達が戻るとすぐに良子の話を両親にするのだった。するとまず父狐が言った。親達は子供達の話を二匹並んで座って聞いていた。
「あの奥方か」
まずは良子のことを頭の中に思い出した。
「やはりな」
「まあ言うでしょうね」
母狐はそれを聞いても平然としていた。当然のことだとさえ思っていたのだった。
「あの人だと」
「それでもお母さん」
「このままでいいの?」
子供達は平然としている母に対して問うた。
「このままだと僕達何かされるよ」
「まだ何もしていないのに」
「何もしていないうちにされるのは狐の名折れ」
父狐が言う。
「当然やられる前にしておく」
「そうよね。まずはやらないと」
母狐も夫の言葉に答える。
「何とかね」
「その何とかをどうするの?」
「お父さんがするの?お母さんがするの?」
「そうだな。あの奥方はわしも好かん」
父狐が言ってきた。
「何とかしてやりたいな」
「私もよ」
母狐もそれは同じだった。嫌わば嫌われる。そういうことだった。
「何かしようとしているのなら」
「先に仕掛けなければならないな」
「じゃあ二匹でやるんだね」
「お父さんとお母さんで」
子供達は両親の話を聞いてこう答えた。
「それだと」
「そうだな」
父狐は子供達のその言葉に頷いた。上に浮かび上がらせている青白い狐火がその顔を照らしている。それに照らされる父の顔は子供達にとって威厳に満ちたものだった。母のそれも。子供達はその顔を見て実に頼もしいものを感じていたのである。
「二匹で行くか」
「ええ、わかったわ」
母狐は父狐の言葉に頷いた。
「とっておきの悪戯をあの奥方にね」
「うむ、そうしよう」
父狐もまた応えて頷く。
「それではな」
「何か面白いことになりそうだね」
「お父さんとお母さんが一緒に出て」
「しかも気合充分だし」
子供達はかなり期待していた。これから起こることに対して。二匹は程なくして良子に対して仕掛けることにした。ある晩のことだった。
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