第一章
[2]次話
あひるのジマイマさんのお話
ジマイマさんは自分の巣、湖のほとりでご主人と子供達に囲まれながらご主人にこうしたことを言いました。
「この前ピーター君のお母さんに言われたのよ」
「あの兎の奥さんだね」
「そうなの、市場でね」
「何て言われたんだい?」
ご主人は自分の羽毛の毛づくろいをしながら奥さんに言葉を返しました。
「それで」
「私達家鴨と鴨は親戚よね」
「ああ、そのことはわしも知ってるよ」
「そうよね、だからね」
「だから?」
「私達家鴨も普通に飛べるらしいのよ」
言うのはこのことでした。
「そう出来るらしいのよ」
「へえ、わし等も飛べるんだな」
「そうみたいよ」
「わしは飛んだことはないけれどな」
「私もよ。子供達にも教えてないわ」
今度は子供達も見つつ言うのでした。
「家鴨は飛べないって思っていたから」
「そうだな、特にな」
「私達家鴨は飛ばなくてもね」
「不思議とやっていけているからな」
「ここにいれば」
湖の近くにいればです。
「食べるものも一杯あるし」
「湖の中に入れば人間も狐も追って来ない」
「だからね」
それで、なのです。ジマイマさん達もです。
「私達飛んだことはないし」
「困ったこともないな」
「そうよね」
「それに鴨さん達だってな」
その親戚にあたる同じ湖に一杯いる鴨さん達にしてもというのです。
「あまりな」
「飛んでいないわよね」
「別にな」
このこともお話するのでした。
「飛ぶことはあっても」
「そんなにね」
「隠れたら済むからな」
「お水の中も隠れられれば」
「水草の陰だってな」
湖の周りに生い茂っているそうした場所もです。
「隠れられるからな」
「ここは隠れられる場所も多いから」
「飛ばなくてもな」
「いいのよね」
「飛ぶよりもだよ」
むしろと言うご主人でした。
「泳ぐ方だよ」
「そう、泳げないとね」
「わし等は生きていけないからな」
「家鴨はね」
「だから子供達にもな」
「泳ぐことは教えているわ」
このことは本当に真剣に教えています、家鴨だけに。
「真剣にね」
「わしもあんたもな」
「そうしないと餌を捕まえられなしし」
「逃げられないからな」
「そう、だからね」
それこそ真剣になのです。
「私達も子供達に泳ぐことは教えてるのよ」
「熱心にな」
「だから泳ぐことの方が大事よ」
それもずっと、というのです。
「私達の場合は」
「本当にそうだな」
「他のことは特にいいわ」
「そもそも兎さん達もな」
ジマイマさんに家鴨も飛べるということを教えてくれたピーターラビットのお母さん達にしてもというのです。
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