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ソードアート・オンライン 〜紫紺の剣士〜
アインクラッド編
2.第一層ボス戦
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口を開きかけた。だが、少年がそれを遮った。
「元ベータテスター、だって?・・・俺をあんな奴らと一瞬にしないでもらいたいな」
さらに少年は言う。自分は誰も到達できなかった層まで登り、アルゴなんか問題にならないくらいにいろいろと知っている―――と。
「そんなの・・・もうチートだろ、チーターだろ?」
――――こいつは。
全て自分で背負うつもりなのか。そうすることで、将来自分がどういう扱いを受けるかを知っていて、なお。
まわりの声は止まらない。やがて、ビーターという単語が生まれていく。
「そうだ、俺はビーターだ。今度からはただのテスターごときと一緒にしないでくれ」
少年はウィンドウを操作すると、灰色のコートから黒いロングコートに着替えた。ばさりと長い裾を翻し、少年は上層へと続く階段を上っていった。
「おい、いいのか、アンタ」
「・・・何がですか」
「放っておいたら、アイツ1人で行くぞ。それでもいいのか、アンタは?」
「・・・・」
俺に突然話しかけられた女性剣士はしばらく黙り込んでいたが、やがて彼を追って階段を上がっていった。嫌な沈黙が広間を支配する。
「エギル、俺はここで抜ける。世話になった」
「あ・・・お、おう」
俺が出したパーティー脱退のメッセージを、エギルが受諾する。それを確認し、俺は2層に続く階段に足を向けた。
「おい、アンタ」
「なんだ・・・キバオウさん?」
俺の返しに、キバオウは一瞬ぴくっと眉をひきつらせた。だがそれ以上の反応は見せず、俺に問いかけてくる。
「アンタは、どう思っとるんや。ビーターの事」
「・・・俺は」
ここでビーター―――彼の事を糾弾するようなことを言っても仕方がないと思うので、思ったことをそのまま答える。
「アイツは、必要な人間だと思う」
そこまで言うと、俺はキバオウの横をすり抜けて、上層に続く階段に足をかけた。



扉を開けてまず飛び込んできた光景は、さっきの2人がぴたっとくっついているというものだった。
「・・・失礼」
くるっとふりかえって戻ろうとしたその直前、「ちがーーう!!」と少年の絶叫が聞こえた。
「・・・違うのか?」
「ち、違うちが・・・」
「違うわ、彼とはボスを倒すためのただの暫定的な協力態勢なだけです」
ぴしゃりと女性―――どちらかと言えば少女っぽかった――が言い放ち、少年はぐっとのけぞったが、幸いすぐに復活し、じっと俺を見据えた。
「・・・何しに来たんだ?」
「名前を聞いてなかったから。お互いソロっぽいから、知っといても損はないと思った」
俺の話を聞いて少年はしばらく目を丸くして聞いていたが、やがてごくごく僅かに口元を綻ばせた。
「そういうことか。俺はキリト、あんたは?」
「アルトだ」
簡単な自己紹介をして、俺はちらっと少女に目を向けた。
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