アインクラッド編
2.第一層ボス戦
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されながらも、ディアベルは反撃しようと剣を振りかぶった。しかし、ソードスキルは発生しなかった。
イルファングの刀スキルが、ディアベルを切り裂く。彼は、黒髪剣士のそばに墜落し。
何かを呟いて――その身体を青い欠片に変えて四散させた。
誰かの叫び声、あるいは悲鳴が、聞こえる。だがそれは俺の聴覚野に届きはしても、意識にまで届くことはない。
――どうする。
リーダーが倒れた時点で、レイドは瓦解する。間違いなく。深手を負った奴を抱え撤退するか、それとも。
――戦うか、このまま。
じりじりと増えていくHPを眺めながら、俺は考える。その時だった。そんな俺の思考を見透かしたかのごとく、二人のプレイヤーがボスにむかっていく。一人はさっきも見た黒髪の剣士。もう一人は、茶色いロングヘアの、なんと女性剣士。
むかってくる敵を確認したのボスが野太刀を構えた。ほぼ同時に黒髪剣士も剣を構える。2つのソードスキルがぶつかり合い、その瞬間、女性剣士が右手の細剣を振り抜く。ソードスキル、名前をたしか《リニアー》。僅かに、ボスのHPが減少した。
しばらくはその繰り返しが続いた。しかし、黒髪剣士がボスの野太刀を受け損ね、吹き飛ばされる。代わりに、女性剣士が突っ込んでいく。ぎらりと、イルファングの野太刀が血の色を纏う。
それを、俺達も黙って見ていたわけではない。
「ぬ・・・おおおッ!」
「ぜああ!」
久しぶりの――事によると初めての気合いを放ちつつ、俺は斬りかかった。両手剣スキル《アバランシュ》、そしてエギルの両手斧系ソードスキル《ワールウインド》。3つのソードスキルがぶつかり合い、凄まじい音量と衝撃を生み出す。イルファングは後方に大きくノックバックしたが、俺達は1メートルほど押し込まれただけですんだ。
「あんたがPOT飲み終えるまで、俺たちが支える。ダメージディーラーにいつまでも壁やられちゃ、立場ないからな」
「今あんたに死なれたら後々困りそうだしな」
俺の見も蓋もない言い方に、剣士―――驚いたことに少年だった――は、大きく苦笑した。
「・・・すまん、頼む」
返答に大きく頷き、俺達はイルファングと向かい合った。赤毛の獣王が吠え、上段に野太刀を構える。
「左斬り降ろし!」
次の瞬間、彼の言った通りに野太刀が振るわれた。その後も次々とソードスキルが俺達を襲うが、大ダメージを食らうことなく防ぎ続けられている。
―――きっと彼は、元ベータテスターなのだろう。
そんなことを考えたが、気にするべきではない。第一、奴のお陰でソードスキルを防げているのだ。感謝こそすれ、ベータテスターだからと恨むつもりはない。
やがて、ついにボスのHPバーが赤く染まった。その事に気が緩んだのか、仲間の1人の盾持ちが足をもつれさせた。
「早く動け!」
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