第椅子取話 弐
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クヤがどうどうと落ち着かせると、なんとかリズもふん、と鼻息一つ鳴らしただけで済む。
「じゃあホーク、他のチームの居場所を教えてくれる?」
その間にユカが借金を恐れずに聞いていると、ホログラムのホークが何やらメモ用紙のようなものを持ち、読み上げるように情報を語っていく。砂浜エリアの大量のイスで時間を無駄にしたこのチームには、もはや他のチームを倒すしか逆転の道はない。
「ショウキたちのチームAは4ポイント取得、洞窟近くの林エリアから動いてないな。リーファとルクスのチームBは3ポイント、レコンがいなくなってるな……今は高所エリアから降りてきてる。お前らは……まあ海岸だよな。マサキたちのチームDは……」
サービスか――それともリズに割られたくないのか――ホークは必要以上の情報を与えてくれた。そして最後の情報は、最初にシリカがポイントを取得した以来、なんのアクションも見せていないチームD。アナウンスもまるで出ていないので、分からなかったその現在位置は。
「……高所エリア入口」
『高所エリア。ルクスが3ポイント取得』
妨害もなく高所エリアで6ポイントも取得した――その分罠にもかかったが――リーファとルクスは、ポイント狩りを狙う他のチームから逃れるため、素早く高所エリアから逃げだしていた。ここでは逃げ場がない、ということは攻め込んでいったリーファにも分かっていた。……まあ、その時は逃げられてしまったが。
「リーファ、止まるんだ!」
「え?」
背後から聞こえたルクスの声に振り向くと、リーファの目の前を風の刃が通り過ぎた。反射的に背後へと飛び退いて長剣を構えると、そこには三人のプレイヤーが立ちふさがっていた。
「勝負です。リーファさん、ルクスさん!」
「待ち構えてたってわけね……」
チームD、マサキたちの居場所は高所エリア入口。リーファとルクスが高所エリアの椅子を調査した帰り――もしくは、リーファとルクス目当てで高所エリア入口に近づいたプレイヤーに対しての待ち伏せ戦術。それが功を労したようで、ポイントを持っている相手に対し、数の優位も込みで勝負をすることが出来る。
「……いくわよ!」
その作戦に対してリーファがとった戦術は、正面から戦うことだった。もはや逃げるにせよ高所エリアにしか逃げ場はなく、どの道リーファたちにシリカたちとの交戦を避ける手段はない。リーファが覚悟を決めて愛用の長剣を構えると、リーファの背後からルクスが前に出た。
「リーファ。私が前にでるよ」
「に、二刀流だとぉ!?」
ルクスが背中から二刀を構える。かの《黒の剣士》のようなその所作に、本物のキリトと共に戦ってきていたクラインが大げさに反応する。キリトとは黒と白の片手剣の色が逆の持ち方だ
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