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SAO−銀ノ月−
第椅子取話 弐
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していると、ユカが砂浜から砂を払いつつ立ち上がった。一見彼女は武器を持っていないように見えるが、そのポーチには毒を塗りこんだナイフが数え切れないほど蠢いていた。

「とにかく、ここから離れましょ。こんな見晴らしのいいとこでじっとしてちゃいい的よ」

 彼女たちが出現したのは島の砂浜。高所や林からは丸見えで、こちらからは木々が繁茂しているせいで何も見えない。とにかく冷静に話し合えるような場所に移動しよう――と考えていたのだが、三人の目の前に置いてあるものが、その決断を鈍らせていた。

「でもこれどうするよ、ユカ」

「……私だって知らないわよ……」

 砂浜に現れたリクヤたちの目の前にあったのは、砂浜に大量に置いてあるイスだった。水平線の向こう側へ――というかなんというか、砂浜の向かう側まで延々とイスが並んでいた。砂浜という場所や波に捕らわれないよう、よく考えて固定されており、適当に配置されてないということは一目瞭然だった。

「いやこれ……罠でしょ? なんかバラエティー番組にありそうな、時間を無駄にする」

「その裏をかいて、大量のポイント取得かもしれないじゃん?」

 そんなことをグダグダと話していても、目の前のイスがどんなものか分かるはずもなく。結局は少しだけ時間を無駄にしながら、三人で手分けして椅子に座っていくことにする。

・チームB
リクヤ
ユカ
リズ


「なんか翼がないと変な感じ。落ち着かない……」

 他のプレイヤーはSAO時のアバターをもとに再構成されていたが、SAO帰還者ではないリーファにレコンはALO時のアバターをもとにされていた。もとに再構成、といえば聞こえはいいものの、要するにバランス調整に翼を無くしただけである。

「よっし。やるからには勝とうね、レコン、ルクスさん!」

「うん!」

「ああ、よろしく頼むよ」

 ALOでシルフプレイヤーの三人が出現したのは、その島の林の中。緑色を貴重として服で保護色になっている……かと思いきや、その金色の髪は木々の間でよく目立っていた。

「それとルクスさん、本当にそういう口調になるんですね」

「変だとは私も思うのだけれど、これは癖みたいなものだからね。特に意識はしてないんだけど」

 ふわっとした印象を与える現実の柏坂ひよりとは違い、一度仮想空間に入った《ルクス》は男口調の入り混じった妙にキッチリとした印象となっていた。その癖はレコンも聞き及んではいたものの、実際に始めてみると現実のイメージと違って驚きを禁じえなかった。

「気にしないでくれると助かるよ」

「そうそう、レコン。今はそんなことより、イスを探しにいかないとね」

 リーファたちの方針は、さっさとイスを取得していくこと。魔法や翼など、妖
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