第椅子取話 弐
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「椅子取りゲーム?」
はて、そう言ったのは俺だったかエギルだったか。もしかしたらエミだったかも知れない。よく見てみれば、俺たちがいる洞窟にも似つかわしくない椅子が数個あった。
『では、ルール説明だ』
どこからか菊岡さんの声が響き、訥々とその『イス取りゲーム』のルール説明をしていく。……途中で口を挟んでも菊岡さんの台詞が変わらないあたり、録音だったのだろうか。最初の全員無事なようで〜が録音とは信じたくないが。
曰わく、俺たちがいるのは少し広めの無人島といったところで、山のような高地や林に洞窟、海岸線に人が住んでいた跡など、おおよそ無人島のテンプレは満たしているとか何とか。その島の各地に大量のイスが配置されており、当たりに座るとポイント取得、先に10Pを取得するか、制限時間いっぱいまで一番ポイントを取れば勝ち、というゲームとのことだ。
ただ、とりあえずイスを取っていけばいいという訳ではなく、イスにはポイントだけでなく、罠やアイテムがあることもあること。取得したポイントは他のプレイヤーたちにも伝えられ、キルされたら取得していたポイントは奪われてしまう、ということ。単純にポイントだけ取得していってしまえば、他のメンバーに袋叩きに合うのみである。しかもキルされたら復活はなしと、かなり大味なゲームバランスだった。
……さらに言うなら、このイス取りゲームはチーム戦とのことであり、なおさら考えていかなくては勝利はないだろう。同じ場所に転送されたメンバーが同じチーム、ということらしい。菊岡さんの口から、各チームのメンバーのことについて話していき、俺のチームの仲間は――
「よろしくね二人とも。絶対勝とうね!」
「ああ。マサキと同じチームじゃなくて残念か?」
エギルの下世話な質問に対し、エミは照れ笑いで返しながら少し考えるような動作をする。
「確かにちょっと残念だけど……こうなったらマサキくんは私が倒しちゃうんだから!」
「……それは頼もしいな」
どうやら、どこの世界も女性の方が強いらしい。そう嘆息しながら、とりあえず目についた近くにあるイスに座ってみたが、特に何も起こらないようで。アイテムや罠も何もない、純然たるハズレのイスだった。
「ハズレか……」
・チームA
ショウキ
エミ
エギル
「いい景色ねぇ」
「ねぇ」
海岸線を臨む砂浜にて、ピンク色と茶髪の二人の少女が、日常の疲れを癒すようにぼんやりとしていた。その隣では二刀の大剣を担いだ少年が、平べったい石を海に向かって投げつけていた。
「よっしゃ、六回跳ねた!」
「あんた、昔っからそういうの得意よねぇ……」
ガッツポーズをするリクヤに対して、どことなく感心するようなリズが水切りを見学
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