プロローグ壱
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プロローグ
とある夏の夜、幻想郷の万屋『北郷一刀』は魔法の森付近に建っている『香霖堂』へとやって来ていた。
「霖之助いるかー?」
そう言ってドアを開けると、カウンターに座っている香霖堂の店主『森近霖之助』が本を閉じて、一刀の方を見た。
「やあ、久し振りだね。今日はどうしたんだい?」
「一緒に酒を呑もうと思ってさ」
「いいね、僕の方もいい酒が手に入ったけど、見ての通り呑もう呑もうと思っていても本を読み始めると止まらなかったりで呑めず仕舞いだったから、いい機会だよ」
「はは、霖之助らしいや」
「じゃあ、母屋の方に行こうか」
「ああ、お邪魔するよ」
そう言うと霖之助は一刀と共に母屋へと姿を消した。
二人が消えた後、商品棚に飾られた古びた銅鏡が淡い光を放っている事に二人は気が付かなかった。
「詠ちゃん、今街の人たちの間にある噂が流行っているんだって」
「月、あんたまた私に黙って街に出たの!?」
「えへへ、ごめんね詠ちゃん」
月と呼ばれた銀髪の少女がそう謝ると、詠と呼ばれた眼鏡の少女は眉間を指で押さえて溜息を吐いた。
「これで何度目よ……。いくら民の暮らしを生で見るのが大切だとは言え、私たちに一言も無しで行かれるのは困るのよ…」
「ごめんね」
「まあ、いいわ。次は気を付けてね」
そう言うと詠は少し疲れたような笑みを浮かべた。
その笑みを見た月は(今度からはちゃんと伝えよう、詠ちゃんが心労で倒れる前に)と固く決心した。
「それで、どんな噂が流行っているの?」
「『白き流星に乗りて二人の御使いが大陸に降り立ち、乱世を鎮め、天下に太平をもたらすであろう』と言うのが色んな所で広まっているんだって」
「すっごい眉唾物よね」
「うん」
「さ、おしゃべりの時間は終わり!早く仕事を終わらせましょう」
「そうだね!」
そう言って、二人は目の前に積まれた竹簡を手に取った。
だが、二人は知らない、この話をした数日後、この噂が本当になってしまう事を……。
赤い髪の少女が黒髪の少女と薄い緑色の髪の少女と共に空を見上げている。
少女の視線の先には昼間だと言うのにはっきりと見える流星の姿があった。
薄い緑髪の少女が不意に呟いた。
「昼間に見える流星とは、不吉な予感がするのです」
その呟きを聞いた赤い髪の少女は首を軽く横に振った。
「ねね、大丈夫。あの流星悪い物じゃない」
「恋殿がそう言うなら安心なのです!」
今まで黙っていた黒髪の少女が二人の方を向いて、どうするのかと聞いた
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