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第四十四話 二次移行
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怪我を負っており、紅椿によるエネルギーの補給があったとしてもまともに動けるものではなかった。しかし、今はその面影はない。
ISによる生体再生……それはかつて『白騎士』のみに与えられていた能力。
仮に紫苑が一夏の怪我のことを知っていれば、その事実に気付くことができたかもしれないが、それが叶わぬ以上この場にその異常を指摘できる者は存在しない。
『よかった、無事だったんですね』
一夏の姿を見て安堵の声を漏らす紫苑。もちろん、その間も敵に対する警戒は解いていないが、最大の懸念だった一夏の無事を確認できた以上その喜びも一入だ。
そして、その姿で彼も直感した……一夏も二次形態に至ったと。
一夏の左手には、彼の新たな力である『雪羅』があった。操縦者の意思に合わせて変化することができるそれは、今はエネルギー状の爪を顕現させている。
『はい……こいつは俺が抑えるので、西園寺さんはあいつを止めてください!』
『わかりました。箒さんは織斑君のサポートについてください』
『……はい!』
覚悟を決めた表情をしながら言い放った一夏は、今までの様子からは想像できない紫苑と箒のやりとりを不思議に思ったが、すぐに気を引き締め直して眼前の相手と対峙した。
『どいつもこいつも……死に損ない共がぁ!』
『La……』
そして戦いは終局へと向かう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『……ルス、……まえ』
先ほどまで暗闇の中に一人囚われていた彼女の耳へ、何者かの声が聞こえてくる。
『ナターシャ・ファイルス、聞こえていたら応答したまえ』
徐々にはっきりとしてきた意識で、それが自分に向けられたものだとようやく気付く。そして、それがどうやら自分の上司からであることに思い至る。
『……は、はい! こちらナターシャ・ファイルスです!』
『ふむ、ようやく通じたか。状況は理解しているかね?』
ナターシャは上司に問われ、初めて自分の置かれている状況に気が付いた。
彼女は先ほどまでハワイ沖で試験稼働をしていたはずなのだ。それなのに機体が彼女に示す情報ではここは日本近海、しかも目の前では見知らぬISがこちらに対して身構えている。その上すぐ近くでは別の、同じく彼女の知らない機体同士が戦闘を繰り広げている。まるで状況が理解できないナターシャだが、眼前の操縦者がいつ自分に攻撃を仕掛けてきても不思議ではないだろうことは、彼女にも察することができた。
『これは一体……』
『ふむ、混乱しているところ済まないが、君がこれからすべきことは単純だ。すぐにその機体をコアごと自壊させたまえ』
『なっ、どういうことですか!』
状況を理解できていないナターシャは、上司のいきなりの命令に
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