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第四十四話 二次移行
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ることが可能な威力の攻撃……例えば更識楯無の愛機ミステリアス・レイディによるクリア・パッションなどならあるいは可能かもしれないが。
しかし、それでも相手の選択肢を大幅に狭めることができるのは間違いなかった。
ところが今、二人の戦闘は拮抗しており紫苑はエムに決定打を浴びせることができずにいた。なぜか……それは単純に敵がエムだけではなかったからだ。
『La、lala』
天照のあふれ出るエネルギーに感化されたのか、先ほどまで蹲って動かなかったはずの銀の福音が途中から動き出し、遠距離から攻撃を加え始めたのだ。
それでなお、拮抗したのである。
理由は単純だ、天照の新たな力が銀の福音の攻撃を全て無効化したからだ。とはいえその力の行使により紫苑の行動も制限されてしまう。それがこの拮抗した状態を作り出していた。
(とはいえ、これじゃジリ貧だし、先にエネルギーが切れるのは僕の方か。なら……!)
このままでは再びエネルギー切れで負けると判断した紫苑は、先に銀の福音を墜とすことを決断する。
『はぁっ!』
紫苑はエムの不意をつき、威力ではなく衝撃によるノックバックを重視した掌底を当てた。
『くっ』
そしてエムが硬直した一瞬の隙をつきその場を離脱、そのまま銀の福音へと肉薄した。
接近を許した銀の福音も持ち前のスピードを駆使して距離を離そうとするが、二次移行を果たした今、瞬間的な加速では紫苑が上回っていた。一閃、二閃……近距離用の武装をほとんど持たないためにまともな抵抗ができない相手を、一気に畳みかける。
ただ効率のみを追求した機械的な動き、しかしそれ故に紫苑にとっては読みやすく、結果的に銀の福音はあっさりと窮地に陥った。
紫苑が、そのまま勝負を決める……そう思ったときだった。
突如として銀の福音が眩いばかりの光を発したのだ。それは忘れるはずもない、紫苑自身に起こったものと同じ……二次移行だった。
(厄介な……、できればこのまま無力化したかったのに!)
『き、さまぁ!』
ダメージのほとんどなかったエムも復帰し、さらなる激情を紫苑へと向ける。一度銀の福音から距離をとり、先ほどより激しい攻防になる、と紫苑が覚悟を決めたところで再び事態は動く。
『西園寺さぁん!』
紫苑と同じく、海へと沈んでいた一夏が箒によって救出されたのだ。
しかも先ほど負ったはずの傷まで癒えて。
紫苑がエムによって墜とされた際、彼は一夏ほど怪我は負っていなかった。ただ絶対防御が発動してしまい、その衝撃による意識障害が起こったのだ。そのため復帰時にはそれほど支障なく動けているのだが、その際のわずかな傷は当然そのまま残っている。
だが、一夏は違った。重傷とも言える
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