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第四十四話 二次移行
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の方にはじき返したのは偶然でしかない。つまり、一人で戦うならまだしも複数人の場合は味方に当たる可能性もあった。
また、天叢雲剣の機能を使用するときと同様に少量ながらもシールドエネルギーを消費する。直撃するよりはマシであるものの、それでも持久戦となった場合は間違いなく先にエネルギーが尽きることになるだろう。
『ちぃっ、ならば!』
そしてその特性上、物理的攻撃には無力だ。
それを瞬時に見破ったエムは、スターブレイカーに備わったもう一つの機能である実弾攻撃に切り替える。
それはある意味で正解なのだが……この場では無意味だった。
紫苑のもとに迫った弾丸は全て彼に届く直前で一瞬、停止した。そして慣性を失ったそれは力なくただ海へと落ちていく。
『何だ……何なんだお前は!』
『八尺瓊勾玉』、二次形態で発現した最後の武装。それは使用者の半径5メートルに効果を及ぼす刹那の慣性停止。
第三世代兵器にアクティブ・イナーシャル・キャンセラーというものがある。これはラウラのシュバルツェア・レーゲンに搭載されている慣性停止結界であり、自身が指定した対象を文字通り停止させる。
しかし八尺瓊勾玉はそれとは似て非なるものだ。
AICは、限界はあるものの対象を任意の時間停止させ続けられるのに対し、八尺瓊勾玉は一瞬だ。しかし複数停止が困難なAICとは違い、範囲内に入ったもの全てを対象として慣性を自動、もしくは故意に奪うことができる。
その正体はナノマシン。
それ故に例えミサイルであっても、単純なものであれば推進力を奪い無力化することも可能である。
だが、やはり万能ではなく他の武装同様にシールドエネルギーを消費する。さらには効果が一瞬であるために目標の長時間の停止は困難である。
そして、やはり光学系の攻撃には無力であるし近接攻撃にも効果が無い。
だが、彼の武装は一つではない。
つまり……。
『はぁっ!』
『ふっ!』
エムのナイフによる攻撃を躱し、紫苑は天叢雲剣で斬りつける。それをエムも身をよじってなんとか回避するがもはや余裕は欠片もない。
もとより、中〜遠距離で戦うことを想定した機体でありエム自身もそうした戦い方がメインである。剣一本しか武装がなく、また生身においても常日頃から武術を嗜んでいた紫苑に及ぶべくもない。
そう、天照に新たに発現した力の本質は……近接戦闘を半ば強制するものだった。
天照の防御を抜けるには、慣性停止の及ばない自身での近接攻撃か圧倒的質量による遠距離攻撃によるエネルギー切れを誘うしかない。
いや、天叢雲剣のような遠距離からの近接攻撃……剣撃や、直撃させなくても爆風でダメージを加え
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