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英雄は誰がために立つ
Life11 聖書の子らの新たなる道 −赤VS白− −不敗VS逆転劇−
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バーサーカーの言葉を無視してヴァ―リに言い放つ。

 「フフ・・・ハハハハハ!ここまで舐められるとは、怒りを通り越して楽しそうだな。普段は逆の方が好きなんだが、これも自分の力量不足を認めるしかない様だ、な!!」

 ガシッ。

 士郎と巨漢の戦いに、お招きに上がろうと向かって行こうとした処で、後ろから誰かに掴まれるヴァ―リ。

 「余裕ぶっこいてんじゃねェェェええええ!!」

 ゴンっ!

 「っっっっ!?!?!?」

 アスカロンを籠手に収納したままの龍殺しの力をのせた一誠の一撃が、ヴァ―リの顔面に突き刺さる。
 今のは完全にヴァ―リ自身のニアミスだ。
 つい、士郎からの誘いの魅力さに気を取られて、アザゼルすらも認識外に追いやったのだから。

 あまりの威力に、白龍皇の兜の一部が割れてヴァ―リの顔が少しだけ覗く。
 それに、隙を突かれたとはいえモロに顔面に大きな一撃が入ったので、脳が揺さぶられたのか体勢がぐらりと歪み、大きな隙が又もや出来る。

 (ここだ!)

 一誠は、白龍皇の余剰のエネルギー排出口である光の翼の付け根に手を回して、過剰なまでに溜めた力を譲渡した。
 これにより、白龍皇の鎧のシステム部分がオーバードライブして事態を直ちに収束させるため、あまりに多くのドラゴンの力までも排出させられてしまった。
 この事態にアルビオンから助言を受けるも、その絶好の好機を逃す程一誠は甘くは無く、龍殺しの力が籠った拳でヴァ―リの防御を貫き腹部に重い一撃を再度加えた。

 ゴホッ。

 堪らず吐血するヴァ―リだが、顔は笑っていた。

 「ハ、ハハハハ、ハ!や、やれば出来るじゃないか。流石は俺のライバ――――」

 それを言い切る前にまたも顔面を殴られるヴァ―リ。

 「まだまだ終わっちゃいないぜ!このイケメンドラゴン!」

 何とも締りの悪い言葉で、自らを鼓舞する一誠だった。


 −Interlude−


 バーサーカーと相対しながらも、横目で一誠の奮闘ぶりを見ていた士郎。

 (実力差が有るから白龍皇(あいつ)も俺が引き受けようとしたが、一誠がやる気を出してるから一先ず任せるか。今此処で俺が手を出したら無粋そうだし、な!)

 バーサーカーの両手を合わせて振り下ろした一撃を、難なく躱す士郎。
 そして、士郎の両手には投影により造りだした馴染の夫婦剣である、干将莫邪を握っていた。
 スパルタクスの耐久値が異常だと判断するや否や、素手では分が悪い戦術を切り替えての事だった。

 その技量に対して、周りが驚く。

 「剣!?」
 「藤村先輩は、剣まで扱えたんですか!?」

 素手であれほどの力量を見せた戦闘者が、剣でも相当な技量を見せているのだから。
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