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英雄は誰がために立つ
Life11 聖書の子らの新たなる道 −赤VS白− −不敗VS逆転劇−
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も動きが鈍かった。
 つまり敵は事実上、眼前の異形化した英霊と、一誠と対峙している白龍皇のみと言う事になる。

 だからと言って如何したかと頭を過ぎるも、あることに気付く。

 (今、この結界内に居るのは味方ばかりで敵がほとんどいない。そして、コイツは風船のように膨らんでいる。まるで、破裂寸前の・・・よう・・・に・・・って、まさか!)

 士郎の胸中では、思いついた不安が肥大化していく。

 「コイツ・・・・・・ッ、自爆するつもりか!?」

 英霊とは、歴史の積み重ねで薄い厚いで強弱も変わっていくが、基本的には神秘の塊だ。
 そんな神秘の塊が、宝具の暴走で存在自体を強化した果ての爆発など、被害規模は予測不可能だ。
 少なくとも、結界内の駒王学園は更地と化すだろうし、自分たちも唯で済むはずがない。
 最悪、被害は周辺にまでのぼり、大惨事となるだろう。

 (冗談じゃない!この街には家族がいや、家族は此処にも一人いたな)

 士郎の視線の先には、祐斗と協力して残存巨大ゴーレムと戦っているゼノヴィアの姿があった。
 この事に腹を据える士郎。もとより、逃げるなどと言う選択肢は無いのだから。

 「投影開始(トレース・オン)

 早速、剣の丘に突き立ててある武器の検索に入る。

 (・・・・・・違う・・・・・・違う・・・・・・・・・違う・・・・・・――――該当アリ!)

 即座に投影で造り出した武器を右手に添える。
 それは、青龍偃月刀だった。
 しかし、だたの青龍偃月刀ではない。
 士郎がまだ『衛宮士郎』だった頃、宝石翁の修業中でのある地域での過去の偉業に対して人々の信仰により、単なる有名な武将が神格化したと言う逸話の残滓を、青龍偃月刀に収めて概念武装の宝具とした物だ。
 だが、複数の条件を満たさない限りこの宝具は正しく機能せずに、単なる業物でしかなくなる。
 逆に、条件さえ満たせば『必殺』を内包した概念武装としての効力が発揮できる宝具となるのだ。
 しかし、不幸中の幸いか条件はクリアできていた。ある二つを除いては。

 「投影開始(トレース・オン)

 即座に自らに埋没してから、輝き煌めく一本の剣が左手に握られた。

 「あれは・・・・・・!」

 サーゼクスと共に結界維持に努めていたミカエルは、士郎の左手に握られている剣を見て、瞠目していた。

 「如何かしたのか?ミカエル」
 「ええ、少々・・・」
 「そうか。それにしても、アレはまるで魔力の爆弾のようだな。何とかしたいが、此処は士郎に任せるしかない様だね」

 期待を籠めた眼で、士郎を見やるサーゼクス。

 これで、満たしていない――――満たしているか怪しい条件は一つだけ。

 (引き返している余裕は
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