四十六話:君へと捧げる鎮魂歌
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『ね、ルドガー……ミラ……は?』
『もういない―――どこにも』
彼とアイボーにとってのミラはもうこの世のどこにも存在しないのだから。
あの後一先ず、マクスバードに戻ったルドガー達は港で心配して駆けつけて来た仲間達と顔を合わせる。そしてミラ=マクスウェルとの再会に喜ぶ仲間達だったがエルとルドガーだけは笑顔は見せなかった。ミラ=マクスウェルは彼等のミラではないからだ。
そして、その事実に幼いエルは耐え切れなくなり自分の“ミラ”とは違うミラがミラと呼ばれるのが聞きたくないと言って走り去っていってしまったのだ。その事にルドガーは自分自身も心の整理が出来ていなかったがエルを一人にするわけにはいかずに追っていく。
そして一足早くエルを見つけていたルルと共にエルを挟み込む様に座り一緒に寂しげな目で海を眺める。
『ルドガー……どうして……どうしてミラを助けてくれなかったの? ルドガーもミラの事好きだったのに……』
『ミラが……望んだんだ』
『自分が消えちゃうのに? そんなの変だよ……』
ルドガーが、ミラが望んだことを伝えると目に涙を溜めておかしいと呟くエル。祐斗はかつての同士が自分を逃がすために死んだことを思い出し、エルの気持ちを察する。しかし、ルドガーはエルに何も言葉をかけてやれずに辛そうな顔をするが、その時、後ろから声を掛けられる。
『ミラは、お前を守りたかったのだ……勿論、君もだ』
『なんでそんなの!』
後ろから声を掛けてきたのはミラ=マクスウェルだった。そして仲間達も二人を心配してか全員揃っていた。しかし、エルはまだ感情の整理が出来ずにミラ=マクスウェルに当たり散らす。しかし、ミラ=マクスウェルはそれを当然の責任として正面から受け止め冷静に返す。
『わかるのだ。違うミラだが、同じミラ=マクスウェルだから』
彼女はエルの足元にまるで騎士のように跪き剣を抜き、誓いを立てる。
『彼女を犠牲にしたことは言い訳しない。エル。私はお前に誓う。もう一人のミラの生を無駄にしないと』
『子どもに、むずかしいこと言わないでよ……』
『では、少し言い方を変えよう。私は、お前と一緒にカナンの地へ行く。私のなすことを見届けて欲しい』
そう誓い立てを終えたミラにガイアスがただ事ではないと気づきカナンの地で何が起こっているのかと尋ねる。それに対してミラは時空の狭間で分史世界が増えすぎて魂の浄化に限界がきているのを見たと答える。
『カナンの地は、全時空で唯一、魂を循環させている場所。増殖した分史世界の魂―――浄化すべき負が、全部カナンの地に流れ込んでいるのね』
それに対してミュゼが察し良くどういうことかを理解する。そして
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