四十六話:君へと捧げる鎮魂歌
[7/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
リドウが抵抗できなくしたジュードとアルヴィンの二人を吹き飛ばし、壁にはりつけする。
そして同時にあらかじめ用意してあった黒匣が発動して、二人を包む。そこでミラがリドウに斬りかかるが、逆に剣を足で蹴り飛ばされる。リドウはバク天をして、ホールの中央から退き、何かを始めようとする。
『で、隠し味は―――生け贄だ』
突如としてホールの中央にポッカリと穴が空き、奈落の底へと続くかのようにそこがない闇が顔を覗かせる。そしてちょうど、ホールの中心部分に居たミラはその穴の中に吸い込まれるように落ちていく。
『あああっ!』
『ミラァァァッ!』
ルドガーはすぐさま骸殻を発動させ、ミラの元へと駆け寄っていく。そして今まさに落ちていこうとするミラの手を掴むために槍を支えとして地面に突き立てて可能な限り身を乗り出してミラの手を掴むことに成功する。その事に思わず、ホッとして息を吐き出すイッセーだったが、まだピンチを脱したわけではない。
『ルドガー! ミラ!』
『リドウーっ!!』
エルがルドガーとミラを心配して大声で二人に呼びかけ、磔にされた状態のジュードは余りの怒りに普段の丁寧な口調もなくなり怒りの雄叫びを上げる。そんなジュードに対してリドウはあざ笑うかのように声を掛ける。
『素直になれよ、ジュード・マティス。会いたいだろ、愛しのマクスウェル様にさ』
『この! このっ! これ、止めてよっ!』
『大人気だね。ニセ者』
ニヤニヤとしながらミラが落ちそうになっているのを見つめるリドウにエルがその小さな手でミラの剣を持ち上げリドウに叩きつける。しかし、所詮、子供の力ではリドウに傷一つ、つけられるはずもなくリドウはミラを偽物呼ばわりしてその状況を楽しむ。
『ニセ者じゃないし! ミラは……ミラだよ!』
その言葉にミラはエルを見つめる事しか出来ない。しかし、そんなエルをリドウは軽々しく蹴飛ばし。そのまま倒れ伏すエルにナイフを向けてゆっくりと歩いていく。危機的状況のエルを見てルドガーとミラはすぐに助けなければと思うがミラの手を離す事がなければエルの元にはいけない。そんな絶望的な状況に見ている黒歌達は言葉を失う。
『は、離して! このままじゃ……』
エルを助けるために自分の手を離して助けに行ってくれと懇願するミラの手を絶対に離さないという想いを込めてルドガーはさらに強く握りしめる。しかし、内心ではこのままではエルが殺されてしまうとも焦っていた。だが、彼はその手を離すことはしない。彼女も……ミラも彼にとっては掛け替えのない大切な者だからだ。
『そんなこと言わないでくれ…っ。俺には世界を壊すことは出来ても君を見殺しにすることなんて出来ないんだ!』
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ