四十六話:君へと捧げる鎮魂歌
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」
「確かに、あの様子だとこの船から出る時には二人はゴールインなんて可能性もあるわね」
「そういうのじゃないにゃ! ……少しは嫉妬してるけど。でも、そんな感じの予感じゃないにゃ、何だかルドガーが苦しみそうな気がするにゃ……」
嫌な予感がすると言う黒歌に対しヴァーリが茶化すようにそう言うが黒歌の顔はそれでも晴れなかった。予感というものは嫌なものほどよく当たると相場が決まっている。故に彼女の予感は当たってしまう事になる。最もここが記憶の中である以上はどれだけ察知しても変えられないのだが。
場面は変わり、ルドガー達が中央ホールに辿り着いた場面だった。中は不気味なほど静かで、ルドガー達が慎重に進んでいると女性の叫び声が聞こえた。
『近づいてはいけません!』
『余計な発言はお控えを』
『リドウさん……なんであなたが!?』
リドウはニヤリと薄気味悪く笑い、ルドガーを見る。そんなリドウに対して本来ならば味方であるにもかかわらず、ルドガーは警戒して睨みつける。そんなルドガー達を無視してリドウは歩いて縛られている男性の元に行き彼を蹴り飛ばす。そんな行動に黒歌達もやはり嫌な奴だと思い顔を歪ませる。
『マクスウェルの召喚を手伝ってやろうっていうのに、そんな顔するなよ』
そう言って骸殻を発動させたリドウがルドガー達の目の前から一瞬で消えた。そして気づいたときにはアルヴィンの後ろに回り込んでおり軽々しく蹴り飛ばした。ルドガーはすぐに双剣を抜いて、後ろから放たれた攻撃を防いで距離を取るが、すぐに距離を詰められ、不利な状況に陥る。そこにミラが援護に入るが、リドウに蹴り飛ばされ、床に倒れる。
『マクスウェルの召喚?』
『我が社にはその術式があるんだよ』
激しい戦闘をしているのも関わらずリドウは余裕綽々と言った表情でミラの問いかけに答える。そんなリドウに対してアルヴィンが銃と剣で攻撃を繰り返しながらリドウに嫌味ったらしく声を掛ける。
『ハッタリにしては三流だな』
『クランスピア社が、マクスウェルを最初に召喚した人間、クルスニクが興した組織でも?』
『ミラ=クルスニクが?』
その事実に衝撃を覚え思わずリドウに確認してしまうルドガー。黒歌達もクランスピア社という大企業が、元々クルスニク一族が作り上げたものだと知り驚きを覚える。二千年以上も続いていることも驚きではあるがそれ以上にルドガーがこのようなことを一切伝えられていないという点である。ルドガーは今回の件においてもリドウが来るなど知らされていない。クランスピア社への不信が黒歌達に生まれはじめる。
『条件はやかましいんだが、まず必要なのは生体回路―――』
『しまっ―――!』
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