四十六話:君へと捧げる鎮魂歌
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見る。因みにギャスパーはどこからか取り出した段ボール箱に飛び込んでいた。
『なによ……全部あなたのせいじゃない! それなのに自分勝手に―――』
『ああ、そうさ。俺は自分勝手だ! 自分の目的の為に世界を壊したり、人を殺してる、最低の人間だ! ミラの事だって全部俺の自分勝手の責任だ。だから、この際、自分勝手に言わせてもらうぞ―――』
ミラの言葉を遮り、ルドガーが一気にまくしたてる。そんなルドガーの様子にジュード達だけでなく黒歌達も呆気にとられている。それほどまでにルドガーが伝えたいこととは何なのかとミラは怒りも忘れてルドガーが再び口を開くのを黙って見る。
『生きる意味がなくていい。なすべきことがなくていい。だから―――生きてくれ、ミラ!』
ルドガーは全力で嘘偽りの無い思いの丈をぶつけた。今まで罪の意識故に言えなかったがもう、そんなことを考えることもなかった。ただ、ミラを救いたい、ミラに生きて欲しい、それだけだった。ミラはその言葉に声が出なかったがしばらくして涙を流し始める。
『あなたって本当に自分勝手ね……最初は私を殺すつもりだったのに今は生きろ、だなんて……』
『ああ、それが俺なんだ』
『エルもミラが死んじゃやだよ。エルのミラってミラだけだし。それにエルはミラのスープ好きだし』
泣きながら話すミラにルドガーは笑いながらそれが俺だと言う。そしてエルはミラのすぐ傍に行き見上げながらミラのスープが好きだと話す。ルルもミラの足に体を擦りつけて励ますように泣き声を上げる。
そんな様子にミラはこの世界に来て初めて生きていてよかったと思う。黒歌もそんなミラの気持ちが分かったのか嫉妬の感情を起こさずに……少しは起きているかも知れないが小猫に制裁を加えられることにはならなかった。
『スープ……これが終わったら、また作ってあげる』
『つくってくれるなら、たべてあげるよ』
ミラが涙を拭きながらそう答えるとエルが満面の笑みで食べてあげると言う。そんなエルの笑顔に元気づけられたのか、ミラも柔らかな笑みを浮かべてエルに笑いかける。その顔は同性であるヴァーリやリアスから見ても綺麗なもので、異性であるルドガーは思わずその笑みに見とれてしまっていた。
『さてと、早いとこ終わらせてエルにスープをごちそう出来る様に俺達も頑張ろうぜ』
『うん、そうだね』
それを見ていたアルヴィンの言葉にジュードも力強く頷く。そしてルドガー達はマルシア首相達を助け出すために駆け足で中央ホールへと向かうのだった。そんな様子を黒歌は不安げな顔で見つめる。その事に気づいたアーサーが何事かと問いかける。
「どうかしましたか?」
「うーん……なんだか、すっごく嫌な予感がするにゃ
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