四十六話:君へと捧げる鎮魂歌
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だ男はアルヴィンの姿を見て、一目散に逃げ出す。アルヴィンは、誰? と問うエルに、アルクノア時代の知り合いだ、と答えてマルコを追った。
『ミラ!』
『ええ……』
『一つ、言っておく』
立ち止まっていたミラにエルが声をかけ、ルドガー達もマルコを追おうとしていた時、ガイアスが口を開いた。
『なすべきことの為なら、己の消滅にさえ立ち向かう。ミラとは、そういう女だ』
ガイアスは顔色一つ変えずにミラにそう言う。言外にこの世界の為に死んでくれと言っているようなものだが、ガイアスは王として眉ひとつ動かさずにそれを言いのけた。この世界の為に汚れ役を進んで引き受けたのだ。ただ、アーストとしてはどう思っているかは定かではない。その姿にリアスは王としての在り方を改めて考えることになる。
『私には、もうなすべきことなんて……』
自分にはもう何もないから生きている意味がないとばかりにミラはそう零し、マルコを追うために駆け出す。その後ろ姿はまるで全てから逃げようとしているようにも見えた。そんな様子を見ながらルドガーは下を向いて顔を歪めながら呟く。
『……人は何かのために生まれなければ、生きられないのか? ただ生きたいと思うのはダメなの事なのか?』
ルドガーの問いに答える者は誰もいない。場面はそこで移り変わる。
マルコから聞き出した情報から街に潜らされたアルクノアは囮で、本命はマルシア首相が乗った、旅客船ペリューンだと言うことを知り旅客船ペリューンにルドガー達が乗り込んだ場面になっていた。ルドガー達はマルコを囮にして見張りをどうにかしようとしたが徹底された管理で取り付く島もなく、マルコは取り押さえられそうになる。
『やばいぞ。奴ら徹底してやがる』
『作戦変更だ!』
アルヴィンの呟きにルドガーが強行突破に作戦を変更しアルクノア兵に襲い掛かる。そしてそれと同時にミラも飛び出し、片方のアルクノア兵の相手をする。
『こいつは私が!』
『舐めるな! 死ね!』
『あぁ……』
しかし、冷静さを失っているミラはアルクノア兵に倒され銃を突きつけられてしまう。それを見たルドガーがすばやく骸殻を開放しアルクノア兵の背中を切り裂いてミラを救う。ミラは今まさに死にかかった事に茫然としながらもゆっくりと立ち上がる。
『油断すんなって。死んじまうぜ?』
『……その方が、よかったんじゃないの?』
『いいわけあるかっ!!』
アルヴィンの言葉に若干下を向きながら皮肉気に言い返すミラだったが、普段は人に対して滅多に怒鳴らないルドガーが怒鳴ったためにビクリと震えてしまう。エルとルルもルドガーの普段とは違う様子から若干怯えた様子で
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