四十六話:君へと捧げる鎮魂歌
[2/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
一緒なら、時空の狭間から抜け出すくらい出来るはずとミュゼが言うが、現実としてミラ=マクスウェルが戻ってこない以上は戻らぬのか、それとも戻れぬのかという事だ。
『とにかく、ミラ=マクスウェルをなんとかしなければ道標は手に入らない』
『ミラ=マクスウェルを戻す方法なら、わかっているわ』
ミラが突然そう呟き、部屋から走り去っていく。ルドガーはなぜミラが走り去ったのかを理解しているために苦しそうな顔をしながらジュードとエルと共にミラを追っていく。そんな後ろ姿を彼にはどうしてこうも苦難ばかり降りかかるのかと思いながらゼノヴィアは追っていく。
ミラは海を何も焦点の合っていない目で見つめながら佇んでいた。そして空はどんよりと曇りまるで今の彼女の心を表しているようであった。ルドガー達はそんな簡単に壊れて消えてしまいそうな寂しげなミラの背中を見つめる。
『ルドガー……ミラがなんか変なんだよ』
『…………っ』
『気づいているんでしょう?』
エルに話しかけられてなお、苦しげな表情を変えることのできないルドガーの心境を知ってか知らずか、ミラがルドガーにそう尋ね、振り返って寂しげな目をルドガーに向ける。
『ミラ=マクスウェルを復活させる方法……だな』
『そう、マクスウェル復活の障害は……私よ』
『どういう、こと?』
子どもゆえに分からずにミラに尋ねるエル。そんなエルに対して淡々と説明を始めるミラ。黒歌達にはその姿は自分を蔑んでいるようにも見えた。
『正史世界では、同じものは同時に存在出来ない。あなた達のミラがこの世界に戻れないのは、私が、ここにいるせいなのよ』
『待って、ミラさん―――』
『ミラ=マクスウェルを、この世界に復活させる方法はひとつ―――』
ジュードの言葉を遮り、ミラは吐き捨てる様に続けた。
『私を殺せばいい』
その言葉に分かっていたものの心の整理が出来ずにルドガーは声を上げてしまう。そしてイッセーはそんな馬鹿なことがあっていいのかとミラを悔しげに見る。アーシアも同じような顔で自暴自棄になって自らを殺せばいいと言うミラを涙ながらに見つめる。
『殺す……?』
『子供の前でやめろよ』
いつから話を聞いていたのか、アルヴィンが現れ、ミラを咎めた。それに対して事実だからしょうがないと投げ槍気味にミラが話すがアルヴィンはそんなことを言って揉めてる場合じゃないと話し、ガイアスから、アルクノアがテロを計画してるって連絡があったことを伝える。
『まさか、平和条約の調印式を!?』
『多分な。で、大事になる前に抑えたいから、手を貸してくれってさ』
この大変な時に何をしてくれている
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ