駆け抜ける獣
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
まずい。
ヴィンセントがそう思って止めに入ろうとした瞬間には、トーリスリッター、いや、ペイルライダーは目標をその手で殲滅すべく動き出していた。
モビルスーツ群を駆け抜けたその機影はインコムを射出し、ビームサーベルで切り裂き、ハイパー・ナックルバスターでその群の数を着々と殲滅していった。
「クロエ、無事か!?」
「うん、多分戦闘に引っ張られただけだと思う!」
二人は協力しながらモビルスーツ達を撃墜していった。
しばらくして残るは艦のみ。クロエはインコムの一斉射撃とハイパー・ナックルバスターでビームをブリッジに撃ち込み、艦を吹き飛ばした。
「よし、退避するなら今だ!クロエ、大丈夫か!?」
「うん…………大丈夫。久しぶりだから、ちょっと疲れただけ」
連邦にいた時にされた、薬物投与などの非人道実験の数々。そして、HADESという、搭乗者が死んでも動き続けていたと言うEXAMをベースに作られたシステム。
これら全てが、クロエをずっと苦しませているのだ。
どうせなら、戦って死んでいくのが幸せではないか?
そんな考えがヴィンセントによぎったが、慌てて頭の外に追い出した。
「この宙域から脱出する!」
「ヴィ、ヴィンセント……」
クロエのトーリスリッターが向いている場所を見る。
そこにはもう一隻のムサカ級。そして旧式だがチューニングされている数々のモビルスーツ達。
…………まだだ。まだ、ここじゃない。クロエの一生がここで終わっちゃダメだ。
ヴィンセントはじっとムサカ級を睨んだ。
二人一緒に生き残るために。
「チッ…………敵が多すぎる!!」
ZUのパイロット、ヴィンセントの父親トラヴィス・カーグラントは、二人が見つめている艦と戦闘を繰り広げていた。
サーベルで切り裂き、メガ・ビームライフルで薙いでいく。
一機のドムが、ZUの背後から現れ、ヒートサーベルを振りかざした。
「クソッタレが……!」
振り返ったそのとき、ドムが突然巨腕に下半身をズタズタにされ、その身を散らした。
「何だ…………!?」
「こちらえ、え〜と…………所属なんて言えぁいいんだ?ん、まぁいい!元ネオ・ジオン軍特殊技術顧問のカペル・グラウス中尉だ!これより、貴官を援護させてもらう!」
「俺たちがな!」
グレーの機体が一機のゲルルグを切り裂き、そこを狙ったギラ・ドーガを蹴り飛ばした。
「此方は地球連邦所属のユウ・カジマ大佐だ!こちらも貴官を……」
「なんだって!?あんた、カジマ中尉か!?」
トラヴィスは思わず声を荒げた。ユウは中尉時代のことを思い出し、その声の主を思い出した。
「ハ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ